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目線は30年後

昨日は久しぶりに都心某所で「市場と社会研究会」が開催されたので参加してきた。『大転換』を訳された主催のN先生が急逝された後、その御遺志をひきついで続けていこうメンバーで相談した結果の、記念すべき新規第一回の研究会である。講演者はN先生のご学友で長年C社(ポテトチップスといえば...)の社長をつとめられ、研究会を支援してくださってきたM氏による「日本の農業と展望」。これがたいへんにおもしろかった!M氏は近年では「日本で最も美しい村」連合というNPOをなさっているが、それはN先生や経済人類学者K氏と議論したり本を読んだりしてつかんだポラニー思想の実践なのだそうだ。ほおー。「学者さんたちが密室で議論しているだけでは仕方がない」。はい、まことにそうでございますー。
なんといっても食品企業で長年やっていらした方である。ポテトチップス原料のばれいしょのことは当然ながら、肉でも魚でも油でも、食べもののこと全般に関して見事に造詣が深く、またヴィジョンをもっていらっしゃる。「食」を合宿テーマに選んだわがゼミ生諸氏に、 -オープンな研究会ではないので無理なのだが― 聞かせてあげたいような話がたくさんあった。日本の問題の多くは農村問題に発しており、農村は複数の危機を抱えて大きな転機を迎えている。今から3年ほどを契機として根本的に変えていけば、これから30年後には結果が出てくるとのことだ。
 30年後...?なんとなく自分の年齢を数えてみる。講演者のM氏は当方の父母たちと同世代である。これまでの30年を見てこられたからこその目線だが、今の状況は30年前が作り出したものということは、1980年代の結果ということでー。あ、モロに新自由主義期。なーるほどー、未来を考えるときに、この目線が重要ということか。
ヨーロッパにもしばしば視察にいらっしゃるというM氏は懇親会でも終始ダンディで素敵だった。いつもの居酒屋の饗宴がいつもとは少し違う雰囲気となり、ことに女性メンバーは大いに華やいだ。

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2014年7月31日 07:27に投稿されたエントリーのページです。

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