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ポラニー学会@ブエノスアイレス

うわっ!あっという間にまた10日ほど経ってしまいました。学期中はやはり忙しいですね。忘れないうちに先の出張のことを少し。とりあえずの目的は、ポラニー学会(大会タイトルは「カール・ポラニーとラテンアメリカ)に出席して報告し、ポラニー研究仲間のクラウス・トマスベルガー氏、ミケル・カンジャーニ氏と会って交流を深めることであった。今回は彼らの「ポラニー学会仲間」であり、現地ブエノスアイレスで教鞭をとりつつ移民研究をするマリア・レイヴァ氏がホスト役をつとめてくれて、彼女とも交流を深めた。

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ん、一人多い?いや、向かって左端の人物は、アルゼンチンゆかりの諸人物の眠るレコレータ墓地(ペロン大統領夫人のエビータの墓にはたくさんのお花が供えられていた)を案内してくれたおじさんでした。
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さて、学会のテーマに沿ってアルゼンチンはじめブラジル、パラグアイなど南米各国からの多くの参加者があり、カナダ(ポラニー・インスティチュートの本拠地である)、アメリカ、メキシコ、さらにはヨーロッパ(特にフランス、イタリア、スペイン、ちょっとだけドイツ)からの参加者もあったが、アジア人は当方一人であった。プログラムには台湾からの2名の参加者があったがキャンセルしたようだ。内容的には理論と実践の報告が半々というところで、新自由主義とは異なるオルタナティヴな実践(連帯経済、地域通貨、コモンズや公概念の見直し)について、ポラニーの思想とひきつけて考察したさまざまな報告が、とても興味深かった。当方は「ポラニー思想を再考する」というセッションで、ポラニーのマネジメント主義批判、特にJ.バーナム批判(とちょっとだけドラッカーのこと)を取り上げたシブメの報告を行ったのだが、聴衆のみなさんは俄然ドラッカーに食いつきがよかった。日本の状況を問う質問があったので「もしドラ」の紹介をしたのがインパクトがあったからなのか?! それと日本における社会運動の盛り上がりについて、金曜晩の首相官邸前デモ(特に女性たちがアクティブ)の紹介をしたのだが、これにはお世話校できびきびと働いていた院生諸氏(殊に女性院生たち!)がガッと食いつき、セッション後にスペイン語混じりのたどたどしい英語で「遠い国の状況を知らせてくれてありがとう。心から連隊の意を表したい」と声をかけてくれた。オウ、グラシャス、お互いがんばりましょう!(ジーン、と胸が熱くなる)
折しも大会初日の11月8日(あらお誕生日)晩には大規模な反政府デモがあり、市のシンボルであるオベリスコの周りをおよそ200万人が埋め尽くした。彼ら、彼女らも参加していたのかもしれない(学会からは、危ないので近づかないようにという指示が出た)。ちなみにその頃当方はその日のセッションが終わって20時過ぎから、ホテル付近のレストランでクラウス&ミケルと誕生日祝いのディナーを囲んだのだが(はい、もちろん巨大な(500gが標準?!とわかってからはハーフを恃むことにしましたが)ステーキと赤ワインです)、テレビにデモの映像がうつり、その規模に三人で仰天したのだった。
学会には今年89歳になるというポラニーの娘さんが参加されていた。みんなから「カーリー」と愛称で呼ばれており、元気溌剌、現役感満載のチャーミングなおばあ様で、クラウスやミケルが長年親しくしているため、当方も間近でお話しする機会を何度か得た。本で読んでいただけのポラニーが生身で存在する(いや、その子孫ですが)という驚きの感覚!は言葉に表しにくいが、なんというか心が震えた。カーリーは1982年に一度来日しているそうで、そのときのホスト役であった栗本慎一郎氏のことをなつかしそうに語っておられた。氏の『ブダペスト物語』は当方にとってもなつかしい一冊であり、そんな話題で盛り上がったり、また当方の報告も聴いてくださって、おもしろかったとコメントしていただけた。たださすがにご高齢ではあるため、細かい文字は読めなくなっており、本を読むのは人に読んでもらって耳で理解するという。それでも今回の拙稿が完成したら、ぜったいにお送りしようと思った!

すばらしく実り多い出張であったが、学期の真っ最中に一週間以上不在にしたため、仕事がたまりにたまって、片づけに追われる日々。。。トホホ... そんなわけでようやく遅ればせのご報告申し上げます。

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2012年11月23日 09:42に投稿されたエントリーのページです。

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