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寝転がってオリオン座流星群を眺めていたい

と抒情的なタイトルをつけてしまったのは、「オリオン座流星群、今晩がピーク」というネットのニュースを見かけたからである。さて(やはりオチのない枕である)、今日は日本現代中国学会の大会にお呼ばれして、3人の論者がアリギの『北京のアダムスミス』に関するご報告をしたものへのコメントを行った。中国の専門家の集う学会だけに、原語を駆使しないアリギの中国論は、吹けば飛ぶような軽さで蹴散らされたが、まったく異なる領域の言語をがんばって理解するのは面白い体験であったし、久しぶりにアリギのことを考えたり少し周辺を調べたりして勉強になった。またご報告者の先生方のお仕事をざっと下調べしたのだが、これらがとても面白かった。すなわちS.ハルパー『北京コンセンサス:中国流が世界を動かす?』(岩波書店、2011年)と與那覇潤『中国化する日本』(文芸春秋、2011年)である。いやー、いろんな研究があるものですなー。セッションを企画してくださった神戸大学のO先生、ありがとうございましたー。

セッションを終わったのが15時半過ぎ、国立駅前のカフェで一息ついたが、何とか17時からの映画「ひろしま」上映会(@調布)に間に合いそうなので、ダッシュで向かった。「原爆の子」をもとに1953年につくられた完全実話の「ひろしま」である。8万人以上の広島市民がエキストラ出演したという異例の力作だが、何十年間もほとんど上映されないままだったという。原爆が落とされる直前、落とされた直後、数年後の広島の様子を壮絶かつ克明に描いているため、映画館が上映を「自粛」してしまったということらしい。本当のことをいうと人々がパニックに陥るといけないから、と言うリクツ。日本は何十年も同じような状態である。しかし映画としての構成力もすぐれていてラストも力強く、全体に強烈なインパクトがある秀作である。世界中での上映が進んでいるというが、いろいろな場所で上映されるといいなと心から思う。


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2012年10月21日 22:31に投稿されたエントリーのページです。

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