このところ、原稿のため立てこもって、いや引きこもって、いやとにかく家にこもっており、拙ブログをすっかりご無沙汰してしまった。そうこうするうちに暑さ寒さも彼岸まで、ついに季節の変わり目が来たようである。さて、今朝の東京新聞で情報を得て、下高井戸でドキュメンタリー『傍:3.11からの旅』(伊勢真一監督、2012年)を観てきた。上映後に監督と絵本作家のいせひでこさんとのトーク付き(我ながら昔からオマケ付きに弱い)。映画の主人公は宮城県亘理町で震災直後に「臨時災害ラジオFMあおぞら」を立ち上げたシンガーソングライターの苫米地サトロさんとその一家であるが、飯館村のエピソードが挟み込まれている。監督は毎月11日の「月命日」ごとに亘理町と飯館村に通い続け、「墓参りをするように撮影する記録があってもいいじゃないか」と撮影を続けたのである。
そのていねいな仕事が映画のなかで独特の時の流れをつくっている。見事な作品である。出てくるひとがひとりひとり印象に残るが、苫米地さんの奥さんは圧巻である。必見!28日(金)まで下高井戸シネマにて11:00-13:00(一回のみ上映。ちなみに予告編でやはり3.11を意識して作ったのであろう作品の予告が流れるが、この人がかつて「原発安全」の広告に出ていたことをわたしは忘れない)。その後横浜の「シネマ・ジャック&ベティ」で上映する他、10月中には岐阜の可児、埼玉、福岡などで一回上映があるようだ。
**
金曜晩の首相官邸前抗議はその後も続いている。昨晩などはお天気もすぐれずどうだろうと思ったが、参加者の温度は下がっていない。一応脱原発に限った抗議行動ではあるが、事ここに至ると、参加者が次々に行う一分スピーチにも「オスプレイ」や「対米従属」といった用語が混じるようになってきた。スピーチを聞く限り、みな領土をめぐる喧騒からは冷静に距離をとっている。夕方から晩にかけての風を感じながら屋外でふつうのひとびとが声を挙げるのを聞いていると、開放感があって心がほぐれる(ときに政党の代表者のこなれたスピーチが混じると、少しトーンダウンする)。なお昨晩は抗議行動の後20時から同じ場所で「ふくしま集団疎開裁判」の催しもあった。福島のこどもたちを一刻もはやく被爆から救わなければならないという緊急のアピール。足を止める人がわらわらと増えるのを警官たちが取り囲もうとしたが、主催者が必死に散らしたため、警官たちはその脇に一列に整列した。帰り際に見たらどこまで続くかわからないほどの長さであった。なぜこんなに集められたのだろう?夜遅くまでまことにお疲れ様っす。