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元気がでる本

そんな折、ワタリウム美術館で故・多木さんへのオマージュでもある「歴史の天使」展をやっているというので、観に行ってきた。1996年に同じくワタリウム美術館で多木さんが企画に関わった展覧会を、このたび2012年バージョンに構成し直したものである。当時、多木さんが書き下ろした「歴史の天使」論を展覧会の構造の軸とし、ダイアン・アーバス、アウグスト・ザンダー、アレン・ギンズバーグらの写真に、チン↑ポムらも加えて、3.11以後の世界を問いかけている。(チラシはこれ↓)

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とても刺激的で考えさせられる展覧会であったし、何人もの若者が訪れて熱心に観ていた。こうして多木さんのスピリットが受け継がれていく。いい感じである。

ところでカタログを手に入れようとショップに立ち寄ったら、チン↑ポムの著書『芸術実行犯』(朝日出版社)が置いてあった。ワタリウムで開催されたひとつ前の展覧会「ひっくりかえる」展(友人K氏に教えてもらっていたのに見逃した;くううー残念)に合わせて出版されたようである。チン↑ポムはウチのゼミ生諸氏が一度ならず卒論で扱っていたりして、当方にもなんとなく親しみのあるアーティスト集団であるが、これがなかなか興味深い本であった。かれらのフクシマへのコミットメントも共感できる。
またその隣には坂口恭平『独立国家のつくり方』(講談社現代新書)もあった。こちらも先日読んだらとてもおもしろかったので、拙ブログで紹介しようと思っていたところであった。この国の政治に飽き足らないので「独立国家」をつくったという。フィクションではない、著者は総理なのである。んでもって、騒乱罪とかで捕まらないように、それはアートだということになっている。いやー若者諸君!それぞれ、やってますなあ。拠って立つところは芸術と思想。もちろんそのビジョンは日本サイズにとどまらない。これはすごく元気、出ますわ。

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2012年8月13日 23:58に投稿されたエントリーのページです。

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