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裏腹な週末

6日金曜の晩は例によって首相官邸デモへ。職業倫理上、わが学生諸氏や若者たち(卒業生とかね)にデモへ行くよう呼びかけはしないのだが、「一緒に行きたい」と言われればやぶさかではない。この日は二人ほどお申し出があったので、それとなく待ち合わせることにした。しかし18時直前の地下鉄駅の国会議事堂前は一週間前に劣らぬほどのにぎやかさで、出口はほとんど封鎖されて一方向に誘導されている。地上にでると雨が降り始めており、すでに相当な人出である。有名な脱原発政治家たちの姿もチラホラと。よもやこの人込みの中で約束した二人に会えるとは思えなかったが、奇跡的に二人とも発見することができ、その前に偶然お見かけしたN谷ボスともご一緒して、4人で進んだ(というか立ち止まることができず進ませられた)。次第に雨脚はひどくなり、あまりの混雑のため首相官邸がどちらの方角かもわからなくなったが、とにかく目の前の何かの省庁とおぼしきビルに向かって「サイカドーハンタイ」のお祭り状態である。今回は通勤リュックにメガホンを忍ばせていったので、叫び心地がよかった。若者二人も昂揚していた様子。デモは見知らぬ人との連帯も心地よいが、知り合い仲間とやるシュプレヒコールも悪くない。しかし20時前にパシッと終わって、近くの昭和時代みたいな居酒屋で乾杯。斜め向こうでは比較的年配の4人のグループが乾杯していたが、そのうちのお一人が帰り際にN谷ボスに話しかけてきた。初めてデモに参加したとのこと。いいですね、みなさん。あきらめずにまいりましょう。

土曜の朝目覚めると、午後にピアノ・コンサートを聴きに行くことに変な違和感があった。このところ休日もデモか仕事ばかりで、ブルジョワジー的愉しみにとんとご無沙汰だったからか。しかし友人某のナイスな企画で、ファジル・サイ@鎌倉芸術館である。電車に揺られて小一時間、湘南の気持ち良い空気に包まれるだけでも気分転換になる。そしてまた、このトルコ出身の天才ピアニストの充実のプログラム(前半はモーツァルトK331トルコ行進曲付きとストラビンスキーのペトルーシュカ。後半はムソルグスキーの展覧会の絵)!ジャズのノリと強じんなテクニックを駆使した自由自在の演奏で、会場は沸きに沸いた。彼も気分がよかったらしく、アンコールは大サービスで何と4回。いやはや堪能いたしました。
今日は別の友人と久しぶりに会うことになって、渋谷のイメージフォーラムでフィリップ・ガレルの『愛の残像』を観てきた。ああ、ため息がでるほどに美しいパリの街並みの空気感、ミニマムで核心をつくセリフ回し、愛の不条理。た、楽しい。思わず我を忘れてしまった。はー、やはり持つべきものはよき友とアートな時間である。しかしこの週末、仕事はあまり進まなかった(当たり前か)。

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2012年7月 8日 22:57に投稿されたエントリーのページです。

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