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島根の自然と原発と

先の週末は島根大学で開催された日本環境会議の全国大会 -メインテーマは「原発災害のない社会を目指して」― に参加してきた。初日のシンポジウムは、ドイツの「安定したエネルギー供給のための倫理委員会」のメンバーであるM.シュラーズさん(ベルリン自由大学)の特別講演と長谷川公一さん(東北大学)の基調講演、その後上園昌武さん(島根大学)が「島根原発のあり方を考える」、植田和弘さん(京都大学)が「福島原発災害以降の日本のエネルギー政策の動向」、除本理史さん(大阪市立大学)が「福島における被害実態調査の中間報告」をパネラー報告した後、全体討論という豪華なプログラムであった。

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どのお話しも具体的でわかりやすく、またきわめて情報も多くとても勉強になった!大会は非会員でも参加でき、わりと広く呼び掛けていたので、聴衆にはかなり地元の人びと(やや年配の)も参加していたようだ。島根県はエネルギー供給県であり関西地方に電気を送っているという。福島ー東京と同じ構造だ。参加したみなさんも基本的には原発なんかやめちまえ!ではないだろうか。なお最後の質疑では、折しもその数日前に米子市が瓦礫の受け入れを表明したからだろうか、これを厳しい声で糾弾する(シンポジウムとはあまり関係のない)「質問」が飛び出して一瞬会場が凍りついたが、司会者の先生がうまく交わしてやれやれである。この問題はほんとうに痛ましい。
翌日のTPPのセッションと原発関連のセッションの分科会はどちらも島根に即した報告もあって迷ったが、やはり原発セッションを選んでみた。昨日と同じく大盛況で、地元の人びとも再び(たぶん、かなりの程度)参加している。第一報告は、さよなら島根原発ネットワーク事務局の芦原康江さんによる「福島と同じ危険性を抱える島根原発」。地元の家を一軒づつ訪ねて脱原発を呼びかけ、「じゃあ経済は?」とか「電気がなくなるんじゃないの」という疑問に答えて署名を集めているという人の話には迫力がある。第二報告は狩野宏さん(NPO法人フォレストアカデミージャパン)の「木質バイオエネルギーと地域づくり」、鳥取日南町の副町長もつとめたという狩野さんの語りはソフトだったが、地元のふんだんな森林を生かしてエネルギー生産や町の活性化を考えるヴィジョンはなかなか野心的なものである。しかし第三報告の橋本真成さん((株)ジオパワーシステム)の「地中熱を利用した環境共生住宅の環境ビジネス」はさらに精力的であった。もともとはある会社の事業部だったという若い会社の二代目社長が、地下5mの地中の一定温度を利用した換気による冷暖房不要の家づくり、身体づくりを説いて聴衆をすっかり魅了した。メディアでもさまざまに取り上げられ、エコデザインやらなにやら各種の賞を受賞して、売上の伸びがすごいというのもうなずける。しかし何ともさまざまな人が新しい取り組みを実践しているのですなあ!このセッションの後もう一つ沖縄の辺野古に関するセッションがあったのだが、飛行機の時間のため退出して空港へ向かった。これは残念であったが、それでもとても実り多く、勇気づけられた大会であった。

せっかくなので年休をとって前泊し、友人と出雲大社や安来の足立美術館も訪れてみたのだが、米子空港が鳥取県にあることも帰りに知ったようなチョー初心者にも(やだ、ばかーん)、この地の自然の豊かさは歴然であった。


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出雲大社は梅がようやく見頃を迎えており、椿も美しかった。松江の水の豊かさ、独特のきめ細かい空気の質、そして魚介類や地酒の素晴らしさ!あと、お菓子も素晴らしかったですねー。ただし、「財布は忘れても傘を忘れるな」と言われるこの地(一度うっかりホテルに傘を置いたままでどしゃ降りにやられた)、初めから終わりまで曇りときどき雨で、名物の「宍道湖の夕日」にだけはお目にかかれなかった。今度はいつかもう少し時間をかけて訪れてみたい。

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2012年3月22日 11:57に投稿されたエントリーのページです。

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