メリークリスマス三連休。この機にやりたいこと(被災地訪問とか温泉とか...えっ?)もあったのだが、結局は目先の仕事の片付けに充てることに。それでも先日は、例の教科書プロジェクトの担当章草稿を書き上げた(やったー!!!思わずクリスマスソングを鼻歌しちゃったよ)タイミングを生かして、渋谷で富田克也監督「サウダーヂ」を観てきた。うはー、クリスマスイブに「サウダーヂ」...。会場は場違いな(失礼ながら)カップルと、いかにもな感じ(そっちのほうが失礼か)の若者諸君で結構にぎわっていた。
パンフレットからの写真で見にくくて失礼。しかしこれは必見の一本である。地方都市甲府の土木建築業がすたれるなかで、労働者たちの暮らし -といっても地方のつつましい家族像なんかではなく、タイ風パブの女の子に入れあげたり、しがない稼ぎで続けるヒップホップの叫びも届かず極右化していったり― が追いつめられていく様を、ブラジルやフィリピン、タイなどからの移民たちの、これまた逼迫した暮らしとともに描いていく。「サウダーヂ」はご存じ(?)ポルトガル語でやるせなさ、郷愁という情感を帯びた言葉だが、サウダーヂはどこまでいっても見果てぬ夢である。デトックスに効果的とかいう名水のまやかしや、「つまりはラブアンドピースよ」と言って移民たちの音楽やダンスをプロデュースする女の子のあやうさの描き方はなかなかであり、友情出演に気合を入れてオールバックで臨んだとかいう社会学者M氏の「地方議員」さんぶりも笑える。
ロカルノ映画祭では無冠だったものの、ナント三大陸映画祭でグランプリ受賞、このたびは凱旋上映である。確かにこれこそ現代の日本発の映画であろう。しかしその闇はほんとうに深い。とりあえず1月13日までオーディトリウム渋谷にて。その後全国各地を巡回予定である。