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BEET研メンバー、夏に集う

今をさること2年前、若手中堅(語義矛盾?何だかヴィトゲンシュタインのあひるうさぎみたいだ)のS氏を中心に研究会を重ねた成果、『ビジネス倫理の論じ方』という論考集を某Nニシヤさんから出していただいたが、これが3刷になるという。時間の猶予はあまりなく、大幅な改訂はできなかった。しかしこのたびの3.11を体験した後、国家と「一民間企業」たるT電の関係などをみるにつけ、「ビジネス倫理」の問題をそのままスルーするわけにいかないということで、昨日19日、BEET研こと当時の執筆メンバーが集まって、「3.11以降のビジネス倫理の論じ方」と題した研究会を行った。

社会的企業、労働、競争、消費、食と安全、企業と国家といった各章のテーマは、いずれも3.11後の社会の問題に深くかかわっている。各自の報告、その後の議論もおのずと緊張感にあふれたものとなった。議論の一つの焦点は、原発のたとえば存続について、また原発労働について、あるいは核廃棄物の処理について、コスト・ベネフィット計算(つまり市場のロジック)で判断を下すことの是非であった。言い換えればそれは、「社会的なもの」の保護のためにエネルギー産業の全面的「民営」化を避けてきたあり方と、これを隠れ蓑にした「原子力村」の隠ぺい体質、あるいは資源を持たない国の成長戦略として原子力を擁護するナショナリズムに対して、「市場原理」というたった一本の刀では切り込むことができないことを示唆している。議論はまた、環境経済学を含めて「経済学」がどこまで、どのように、核という存在に対峙できるのかという問題をめぐって、大いに展開された。少し論点をずらして言うなら、「原発がなくなったら経済が悪化する」というのも、相当な暴論である。いずれにせよ、こうした諸論点について、かつての論考集に上乗せするかたちで、(余震や大雨にもマケズ)議論ができたのはよかった。録音・録画をしたので、何らかの形でよりオープンな記録が作れるとよいがー。

しかし!実は研究会の発端はBEET研メンバーのNさんの結婚祝いであった。
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なぜか健啖家が多く、かつても研究会ごとに深く懇親したBEET研は、この日もT氏推薦の素敵なフレンチにて、N氏の門出を祝ったのである。

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もちろんこの日も企画者であったS氏(写真の提供も)、写真を撮ってくれた店の兄さん、ありがとうー!

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2011年8月20日 21:14に投稿されたエントリーのページです。

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