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闇のコミューン?

昨晩は、とある縁で初めて福島泰樹さんの絶叫コンサート@吉祥寺曼荼羅を聴きに行った。さる5月4日が27回忌だったという寺山修司をメインテーマに、中原中也、村山塊多の詩などもアレンジしつつ、福島さん自身の短歌の朗読もあっておよそ2時間。会場は、テラヤマシュウジ、なんて知らないわーという感じの若い人でぎっしりだったが、短歌絶叫は絶品であった。ピアノの音、尺八あるいは横笛の音色と、福島さんの鍛錬された多彩な声がジャズのセッションのように掛け合いながら、一つの世界をつくりだしていた。
その世界は、徹底的に男の声で語られる男の視点である(女のわたしには、いくぶん居心地が悪いこともある)。とはいえそれは、当日に配られた新聞記事(福島著『悲しみのエナジー』を評したもの)が述べるように、「日本の戦争、戦後過程と向き合」い、「私たちは何をしてきたのか、しているのか。何をしてこなかったのか、していないのか」を問う、身体を賭した仕事であった。短歌絶叫自体がひとつの実践であり、場であり、闇のコミューンであると言われる所以である。
これと比較してみるとき、谷川雁のサークル村の実践は、多分に女性たちとそれを受け継ぐ子どもたちによって担われ、とても明るく、いわば光のコミューンである。同じ時期を駆け抜けた実践として、不思議な対照をなしている。

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2009年6月11日 22:01に投稿されたエントリーのページです。

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