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2009年04月18日

最近気になる本

4月9日の日経新聞のコラム「春秋」で大河原眞美先生のご著書で「合理的疑い」
という言葉がとりあげられていることに関連して書かれていたのに興味を持ちま
した。reasonable doubt の訳語として放送通訳でこのように使っていました。

CNNで同時通訳のときはわけがわからないまま、ともかく「合理的疑い」と言
葉をあてはめただけの訳出を私もしていたことを思い出しましたが、裁判員制度
をむかえて一般の市民も裁判にかかわるようになると、わかったようでわからな
い裁判用語について、考え直す必要があるのではと考えさられました。

またbeyond reasonable doubt と言うフレーズで使われることが多いようにおも
います。「合理的な疑いを越えて」有罪といえるかどうか、というふうに。
また今回もうひとつつくづく思ったのは、アメリカのニュースに裁判関連の話題
が浸透しているということです。

思えば beyond reasonable doubt を最初に耳にしたのは、OJシンプソンの裁
判のときでした。これは世紀の裁判、だのドリームチーム弁護団だの、大きな話
題を提供した裁判でしたが、放送通訳の面でも大きな衝撃を与えたこの事件はこ
の日本の裁判員制度にも関連するくらいの伏線をしいた事件だったとあらためて
思いました。

こんなふうにいろいろと考えさせられた日経のコラムだったのですが、今日の産
経新聞の書評に当のこの本「裁判おもしろことば学」という大河原先生の著書が
出ていました。「法廷は言葉のガラパゴス」という指摘をされているのだそうで
す。日本の法廷用語の多くは、明治時代に西欧の諸概念を直訳して移入され、閉
鎖的な専門家集団の中で独自の進化をとげながら定着している、あたかも外界か
ら隔絶されたガラパゴス諸島に生息する生き物のように、というのだそうです。

この本、ぜひ読もうと思いました。

さて、最近の本といえばCNNニュースにはいったときにこういう本の紹介があ
りました。50年以上前の本なのに、経済不況をきっかけに売れているそうです。
日本で「蟹工船」がブームになったのと似ている?

アイン・ランド (Ayn Rand) の「肩をすくめたアトラス」。1957年出版の本です。
原題は Atlas Shrugged Atlas インターネットで調べたら次のサイトに要約があ
ります。


こちらのサイト

資本主義とは何か、を考えさせられる小説、著者は1926年にソ連からアメリカに
亡命した作家、とCNNでは伝えていましたが、インターネットでみるとこんな
記述も。

「アメリカでは聖書に次いで人々に影響を与えた本」。

またアイン・ランドは、脚が綺麗で非常に美しい女性だったそうで、25歳下の愛
人がいたとかで、人間的にも興味を惹かれました。

この本もいずれ、読んでみようかとおもいました。訳本は「肩をすくめるアトラ
ス」脇坂あゆみ、ビジネス社。

ほかにも、アラン・グリーンスパン元連邦準備制度理事会議長がこの作家の影響
を受けていたことや、映画Miss Congeniality (邦題では「デンジャラス・ビュー
ティ」)の脚本を書いていたこと、ハリウッドのセレブと親交があったことなど、
話題の多い作家であるようです。

また、つい気になるのがタイトルの翻訳。Atlas Shrugged は普通に訳したら
「肩をすくめたアトラス」となりますが、翻訳者がタイトルを「肩をすくめるア
トラス」としたのは何か意味があるのでしょう。ギリシャ神話にでてくる地球を
支える巨人アトラスの力の及ばない部分、という意味なのか。

映画の邦題にしても、congeniality という訳しにくい英語は、いっそ映画の中
身を表す分かりやすい日本語の題にしたほうが、観客動員につながるという判断
だと思います。タイトルの翻訳をどうするか、これも考えてみると面白い点です。

2009年06月04日

オバマ大統領スピーチと本のご紹介

今も次々「進化」しているオバマ大統領のスピーチ、通訳者としてオバマ大統領の演説を通訳できるのは大きな喜びであるとともに大きなチャレンジでもあります。よく考え抜かれた演説は特別に難しい単語が使ってあるわけでもなければ、話し方が速いわけでもありません。しかし、感動を呼ぶもとの英語のスピーチの表現をどう日本語で伝えることができるのか。いつものことながら、単語をそのまま置き換えても、肝心のメッセージが伝わりはしません。

今日はNHK衛星放送の「きょうの世界」でほんの一部のハイライト部分でしたが、時差放送通訳を担当しました。たまたま、別のABCナイトラインの仕事でNHKに入っていて、ナイトラインでもエジプト、カイロでの演説は「新たな始まり」と題するイスラム社会への呼びかけとなる重大な演説で、最後の最後まで大統領本人が手をいれていること、演説は生中継で世界にホワイトハウスのサイトから13の言語の翻訳が配信されると伝えていました。

こういう大きな原稿の場合、事前にマスコミに演説草稿が入ってきます。今日も入ってきていました。演説が始まったのが日本時間の午後7時少し過ぎ、50分予定と言うことでしたが、ちょっと延びて一時間近い演説でした。

10時15分からはじまる番組ですから、準備の時間は十分にありました。番組で今日使える部分は2分半程度ということでしたので、まずどこを使うかの選定から始まりました。個人的には、オバマ大統領が自分のパーソナルストーリーを述べている部分、「私はキリスト教徒だ」といいながらも「父親は何世代にもわたりイスラム教徒を含むケニアの家系だ」と言ったところが強く印象に残りました。

Now part of this conviction is rooted in my own experience. I'm a Christian, but my father came from a Kenyan family that includes generations of Muslims. As a boy, I spent several years in Indonesia and heard the call of the azaan at the break of dawn and at the fall of dusk. As a young man, I worked in Chicago communities where many found dignity and peace in their Muslim faith.

また、このあとでこうも述べているところも巧みだと思いました。

Now, much has been made of the fact that an African American with the name Barack Hussein Obama could be elected President. (Applause.) But my personal story is not so unique. The dream of opportunity for all people has not come true for everyone in America, but its promise exists for all who come to our shores -- and that includes nearly 7 million American Muslims in our country today who, by the way, enjoy incomes and educational levels that are higher than the American average. (Applause.)

「バラック・フセイン・オバマというアフリカ系アメリカ人が大統領に当選できた事実は多くを物語る」

しかも、他にもそういうふうにイスラムとの絆をもつアメリカ人は多くいるということを伝えて、イスラム社会は実はアメリカの内にもすでに浸透しているといいたかったのだと思います。

このようにパーソナルストーリーを語りながらその経験をアメリカのほかの人にも広げていく、説得力を持たせるという手法は健在です。

ここで一つお知らせです。

このように、通訳者冥利に尽きますがオバマ大統領の重要な演説のほとんどを放送通訳者として通訳する機会に恵まれている私、とても僭越ながらオバマ大統領のスピーチについての本を出しました。


こちらのサイトでご覧下さい。

オバマ大統領のスピーチの魅力をさらに深く味わってみたいという方、是非お読みいただければ幸いです。

2009年07月12日

『裏返し文章講座ー翻訳から考える日本語の品格』

別宮貞徳先生の最新刊、ちくま学芸文庫から出ているこの 本、翻訳を志される方

いえ、多少なりとも文章を書く仕事をしている人は必読です。

もっとも、この本を読んでいるうちに私なんぞは一行たりとも文章を書く資格はないのでは、と真剣に悩まねばならないくらい、日本語がなってないという思いにとらわれました。

別宮先生がいままでにみてきた膨大な量の翻訳本から、とんでもない日本語とはどういうものかをあぶりだすことにより、日本語を書く上での反面教師としようという企画ですが、読み進めるうちに(この暑いのに)私自身が冷や汗たらたら、でした。

とても身につまされるところが多く、ユーモアたっぷりの指摘に自戒せねばと思うことが多々ありました。

いくつか例をあげます。

*「のの花畠に意味は薄れ……」

もちろんこれは「菜の花畠に入日薄れ」のもじりでしょうけど、「の」「の」と続くと何を言いたいのか、わからないということ、確かにそのとおりです。

*「野田さん節」

「~のだ」「~のだ」ばかりで出来ている文章、確かにみかけます。

*文学からほど遠い日本語

文学作品のはずが、主体があちこちと揺れ動く文章だったり、筋の通らない、道理などそこのけの会話文がでてきたりする例がいろいろ、あげられています。

また、主語の問題その他として「は」と「が」について特にとりあげていますが、これはあらためてよく考えて使っているのか、おおいに反省しなくてはと思いました。

最後、第七章 総括 悪文を生み出すもの では以下3点があげられています。

1 無恥・無思慮ー権威主義が品位を落す
2 音痴ー耳の悪さが変調を招く
3 無知・無感覚ー知性・感性の乏しさが駄文・拙文を生む

大いに心せねばならない、と思いました。

なお、付録の日本語クイズはまったく歯が立たず、でした。

まだまだ、日本語の勉強が必要と痛感しました。

2009年07月18日

働く女性の仕事術

外語大で英語学科の授業をはじめ、特化コース、専修コース両方で教えてくださっている光藤京子先生の近著「働く女性の英語術-2nd Season」をご紹介します。

去年刊行された「働く女性の英語術」の姉妹編です。

先日外語大で講演をしてくださったある国際機関にお勤めの方のお話を伺っても
つくづく思ったのですが、世界で能力を発揮するにあたっては国内で自分が発揮
できる能力に加えて、海外でそれを発揮できるようにする外国語能力が必要。

その外国語能力を鍛えるにはどうすればよいのか、懇切丁寧に場面場面を考えな
がら解説をしてくれているのがこの本です。

海外で仕事をするというベテランのお二人の方に、Keri's Interview という形
で具体的なアドバイスを興味深くまとめているのも、特筆すべき点です。

レジュメの書き方、カバーレターの書き方や、海外企業の入社面接についての部
分もとても役立ちます。まずは採用されなかったらどうにもなりません。その点
についてもとても親切な本です。

実際に働く上での海外文化について、アドバイスしているところもとても具体的
です。とりあげられているuseful expressions のところは、身に着けておけば
必ず役立つこと、うけあい。

働く女性に限るのがもったいないくらい、、、海外でも実力をフルに発揮したい
と考えている人に、ぜひお勧めしたい本です。

2009年07月29日

ニューズウィーク日本語版

ちょっとコマーシャル。
このブログを読んでくださっている皆様にお知らせです。
ニューズウィーク日本語版での特集『オバマに学ぶ英語術』今日発売です。

このなかで私がインタビューをお受けしています。

よろしかったら是非、見てください!
またあらためまして、拙書「オバマ流世界一のスピーチの創りかた」(マガジン
ハウス)こちらもよろしくお願い申し上げます。

2009年11月04日

よくわかる逐次通訳

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通訳はよく「逐次に始まり、逐次に終わる」と言われます。
同時通訳よりも、大勢の前で行う逐次通訳の方が緊張もしますし、また責任も強く感じます。

逐次通訳を堂々とできるようになれば、そこから先は同時通訳はむしろそれほど苦労せずにできるようになるとさえ言えるでしょう。

完璧に身につけるべきは逐次通訳の基本的技術です。

特にノートテーキングについては普段指導していて、一番学生からの質問も多い点ですが、今回パリ第三大学(ESIT)と東京外国語大学大学院の実技指導の現場を踏まえて、共同で教本を出版しました。

ずばりタイトルは『よくわかる逐次通訳』となっています。

今回の特長は、DVDを用いてノートテーキングの実演をおみせし、またその詳しい解説もみることができる点にあります。このノートテーキングについては、ESITの先生方が実際にやってくださっており、必見です。

詳しくはこちらのサイトでもご覧ください。

ノートテーキングがどうしてもうまくならない、逐次通訳のコツがつかめない、と悩んでいる方はまずは本書をご参照ください。自信の一作です。

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