最近気になる本
4月9日の日経新聞のコラム「春秋」で大河原眞美先生のご著書で「合理的疑い」
という言葉がとりあげられていることに関連して書かれていたのに興味を持ちま
した。reasonable doubt の訳語として放送通訳でこのように使っていました。
CNNで同時通訳のときはわけがわからないまま、ともかく「合理的疑い」と言
葉をあてはめただけの訳出を私もしていたことを思い出しましたが、裁判員制度
をむかえて一般の市民も裁判にかかわるようになると、わかったようでわからな
い裁判用語について、考え直す必要があるのではと考えさられました。
またbeyond reasonable doubt と言うフレーズで使われることが多いようにおも
います。「合理的な疑いを越えて」有罪といえるかどうか、というふうに。
また今回もうひとつつくづく思ったのは、アメリカのニュースに裁判関連の話題
が浸透しているということです。
思えば beyond reasonable doubt を最初に耳にしたのは、OJシンプソンの裁
判のときでした。これは世紀の裁判、だのドリームチーム弁護団だの、大きな話
題を提供した裁判でしたが、放送通訳の面でも大きな衝撃を与えたこの事件はこ
の日本の裁判員制度にも関連するくらいの伏線をしいた事件だったとあらためて
思いました。
こんなふうにいろいろと考えさせられた日経のコラムだったのですが、今日の産
経新聞の書評に当のこの本「裁判おもしろことば学」という大河原先生の著書が
出ていました。「法廷は言葉のガラパゴス」という指摘をされているのだそうで
す。日本の法廷用語の多くは、明治時代に西欧の諸概念を直訳して移入され、閉
鎖的な専門家集団の中で独自の進化をとげながら定着している、あたかも外界か
ら隔絶されたガラパゴス諸島に生息する生き物のように、というのだそうです。
この本、ぜひ読もうと思いました。
さて、最近の本といえばCNNニュースにはいったときにこういう本の紹介があ
りました。50年以上前の本なのに、経済不況をきっかけに売れているそうです。
日本で「蟹工船」がブームになったのと似ている?
アイン・ランド (Ayn Rand) の「肩をすくめたアトラス」。1957年出版の本です。
原題は Atlas Shrugged Atlas インターネットで調べたら次のサイトに要約があ
ります。
資本主義とは何か、を考えさせられる小説、著者は1926年にソ連からアメリカに
亡命した作家、とCNNでは伝えていましたが、インターネットでみるとこんな
記述も。
またアイン・ランドは、脚が綺麗で非常に美しい女性だったそうで、25歳下の愛
人がいたとかで、人間的にも興味を惹かれました。
この本もいずれ、読んでみようかとおもいました。訳本は「肩をすくめるアトラ
ス」脇坂あゆみ、ビジネス社。
ほかにも、アラン・グリーンスパン元連邦準備制度理事会議長がこの作家の影響
を受けていたことや、映画Miss Congeniality (邦題では「デンジャラス・ビュー
ティ」)の脚本を書いていたこと、ハリウッドのセレブと親交があったことなど、
話題の多い作家であるようです。
また、つい気になるのがタイトルの翻訳。Atlas Shrugged は普通に訳したら
「肩をすくめたアトラス」となりますが、翻訳者がタイトルを「肩をすくめるア
トラス」としたのは何か意味があるのでしょう。ギリシャ神話にでてくる地球を
支える巨人アトラスの力の及ばない部分、という意味なのか。
映画の邦題にしても、congeniality という訳しにくい英語は、いっそ映画の中
身を表す分かりやすい日本語の題にしたほうが、観客動員につながるという判断
だと思います。タイトルの翻訳をどうするか、これも考えてみると面白い点です。
