今日の話題は三つ。どの順番でくるかわからなかったものの、トップ二つは予想
通り、ブラジルでのエールフランス機行方不明のニュース、それにGM破綻。も
う一つは、北朝鮮と中国の国境で北朝鮮に拘束された中国系アメリカ人女性記者
の姉が、すでに拘束されて3ヶ月になり6月4日に裁判が予定されているのを前に
妹への思いを語ったインタビュー。いずれも見ごたえがある内容でした。
しかし、訳出しようとするとそれぞれに難しさがあります。
私は今日はくじで1番をひいたので、一番最初にでてきたエールフランス機行方
不明のニュースのリポーターを訳しましたが、今日はまさに数の処理にみな、苦
心しました。
ブラジルのリオ発で行方不明になったエールフランス機は便名がfour four
seven
有名なジェームズ・ボンドのコード、007
double o seven
ならぬ
double four seven 447
なのですが、これを何というか。
英語にひきずられてずっと読み合わせのときまで、「ヨン、ヨン、ナナ」だと信
じていた私。
NHKニュースでは「四百四十七便」とされていると聞いて、今さらながら気付
きました。
そういえば、映画にもなった有名なユナイテッド93便も「キュウ、サン」ではな
く「九十三」便でした。
便名は日本語では、ひとつひとつ、数字を区切らずに読むのですね。
また、7を「シチ」にするか「ナナ」にするか。
一と紛らわしいときは「ナナ」としたほうが良い、といわれていますが、次のよ
うな文章はどう読みますか。
今日私が作ったリポーター部分訳出原稿の冒頭です。
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5月31日午後7時3分、エールフランス447便がリオデジャネイロを出発し、1日朝
到着予定でパリに向かいます。
(ちなみにこれは、overnight flight to Paris を上記のように訳しています)
乗員12人、乗客126人、子ども7人と乳児一人も含まれます。
*********
最初は午後「シチジ」ですよね、、、「ついたち」はよいとして、次、
子ども「シチニン」と乳児「ヒトリ」でしょうか。
他もレポートの性質上、数字だらけです。
続きです。
*********
ブラジル人58人、フランス人61人、少なくとも2人アメリカ人が乗っていました。
現地時間、10時33分、エールフランス機からブラジルの管制塔に連絡が入ります
が、これを最後に連絡が途絶えます。
(ちなみに、contacted for the last time の訳出です)
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今日は夢にひつじを数えるのではなくて、便名やら到着予定時間やら、人数やら
が出てしまうのでは?と同僚通訳者と冗談をいいあったくらい、数字だらけでし
た。こういう場合、数字をどういうのか、やってみるとこれがけっこうたいへん
で考えすぎると、何も口から出てこなくなりそうでした。
訳出で気を使ったところ、上記のほかにも3箇所あげます。
1.
記者会見の模様のところ。臨場感をどう出すか、また整理できるところは整理し
てすっきりとしようと工夫しました。
In Rio, family members are gathering and an Airline official tells the
gathering press 'Air France regrets to say we have no news on flight 447'.
リオでも空港に家族がつめかけます。エールフランスの担当者は、集まった報道
陣を前に、残念ながら447便の情報は何もないと伝えます。
2.
原因についてとりざたされていますが、regularly 定期的に、ではいかにも変な
感じがするのをなんと言うか。またやはり情報をスッキリ整理を心がけました。
Apparently, aircrafts are regularly struck by lightning but only very
rarely with catastrophic results- but it happened in August 2006 in
Uklaine- 117 people were killed.
航空機は時折、落雷に見舞われることがありますが、大きな事故につながること
は滅多にありません。
これを次のように変えました。
航空機は落雷にみまわれることがありますが、滅多に大きな事故につながりませ
ん。
後半は、こうしました。
しかし、2006年8月にウクライナで170人が死亡する大惨事となりました。
3.
サルコジ大統領が空港で搭乗者家族に語った言葉。原語はフランス語でそのうえ
に英語への通訳がかぶっていたものからの通訳。これもあとで読み直して書き換
えました。
He brings no confort. 'I told them the truth that is the chance of
finding survivors is extremely slim.'
なぐさめの言葉ではありません。
「本当のことを告げました。生存者を発見する確率はきわめて低い」と大統領で
す。
→
「本当のことをいいました。生存者がみつかる可能性はきわめて低い」と大統領
です。
と訂正しました。
あとでこの部分、夕刊紙の見出しでは「望み薄」としていたところが多かったで
す。新聞だとこのように簡潔になりますね。
このように時差通訳だと原稿を書き出す時間があるので、じっくりと読み直して
推敲することができます。ちなみに、ほとんどの場合(かなり時間がせまってい
るものでも)時差通訳の場合は私は全部原稿を書いています。
そうそう、私が担当したのではないGM破綻のニュースのところ、今日のレポー
トはだいぶ前からこの日の来るのを予想して、練りに練っていたのではないか、
とあとで同僚やデスクと言っていたくらい、よくできた、よく考えられたリポー
トでした。
GM General Motors
と画面に大写しででたあと、いずれも G と M で始まる単語を使ってこう
いうような表示がときおり画面に出ます。
Grow Mighty
強く大きく
Government Money
政府資金援助
Gone Missing
姿がみえない
Gotta Make
(it)
ここで再生せねば
といったところですが、これ、本来ならG とM の面白さを活かしたいところ。
ゼネラルモーターズ、ですから、「ゼ」と「モ」でどうにか、出来ないかと放送
が終わった後、同僚通訳者とデスクと色々知恵を出し合いました。
全部儲かる
全額援助
絶対絶命
絶対に再生
うーん、「も」で二番目を出すのが本当に難しい。
それにこんなことをしたら、意味が通じない。
ここは意味を伝えることをやっぱり第一に考えるべきでしょう。
自分のやった最初のリポートもさることながら、それ以上に他の部分からも今日
は多くのことを学びました。
いつもながらですが、同僚のすばらしい訳出に感激した一日でもありました。