先日のオバマスピーチについて、いくつかの授業でもホワイトハウスのウェブサイトでみられるし、日本語訳も各種でているので見るといいでしょう、とお話しました。
さて、ここで一つ、参考になるかどうかわからないですが、私が当日とったメモを公開し、当日どんな感想を綴ったのかをお知らせします。
参考になれば幸いです。
また、オバマスピーチで本当に印象的だったのはデリバリーの巧みさ。
この点については、拙書、「オバマ流世界一のスピーチの創りかた」(マガジンハウス)を参照いただけると嬉しいです。
ここのなかで示したヒントは実際にオバマ大統領の演説に反映されています。
東アジア外交演説 当日のメモからサントリーホール2階席の前から3列目、ほぼ中央に期待でいっぱいで着席。予定の10時を5分過ぎても始まらない。11月11日付のニューヨークタイムズ紙に、G20ピッツバーグサミットの夕食会のときにオバマ大統領夫妻が入り口で各国の首脳を待っているとき、2時間近く遅れて鳩山総理夫妻が登場し、鳩山夫人がI am sorryと言ったというのが書かれていた。だからといって今日わざと遅れたということはないのだろうが、10分ほど過ぎたところで大統領が登場、圧倒的な存在感。盛大な拍手を受けて演説が始まる。
ここから先の私は聴衆の一人になって演説を聴こうと決めていた。通訳音声は聞かなかった。通訳者としては、話の筋を追うものの、くまなく一語一語を落さないように伝えるように全神経を張り詰めて聞き取りをするが、聴衆の心に伝わるのはどこだろうか、と考えながらキーワードを書き出していった。以下が当日の私のメモである。(拍手)と書き込んであるのは「拍手が起きるところでほっとする」という通訳者の心理を表しているといえるが、ナマで演説を聴けることでなんと言ってもいちばん日ごろ、テレビで同時通訳をしているのと違うのは会場の反応がじかに伝わってくるところであった。2階席のメディアに近いところだったので、取材しているメディアの人たちの息遣いまで、同じ空気を一緒に吸っているなかで感じられたのも新鮮な感激だった。
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アメリカ人(拍手)
鎌倉、抹茶アイスクリーム
Obama, Japan日本初訪問、国務長官初訪問も日本(拍手)
50年ぶり
日米安全保障条約改定50年
アイゼンハワー indestructible partnership based on equality and mutual understanding
日米は、世界の二つの経済大国
日本が世界で大きな役割を果たす
イラク、アフリカ、アフガニスタン、さらに援助同盟は共通の価値観を示す free people realize their dreams
沖縄問題
meant in history more expeditiously through working group
同盟は常にアイゼンハワーの言ったパートナーシップ地域に目を向ける
アジアとアメリカは太平洋をはさむ
shared prosperity, bondmy own life
ハワイ生まれ、インドネシアで育った
妹のマヤは、インドネシアで生まれ中国系カナダ人と結婚したPacific rim shaped my view
We have a stake in the future of this region
where 輸出 create jobs
where nuclear armament
where extremistsエネルギー安全保障
気候変動アメリカ old alliances new partnership
日本、韓国、タイ、フィリピン
fundamental to shared securityこの地域の平和と繁栄
日本のアジアの安全保障と(拍手)この地域全体
若い男女軍兵士が守る日本はより大きな役割を果たす
インドネシア、マレーシアの民主化新興国は21世紀に一つの国だけではなくて、他ともに発展
相互関連している世の中では、ゼロサム×
中国の台頭
協力 競争×アメリカは中国のfocus on its markets
Powerful center
21 世紀の挑戦
bring them together
role
経済 ↑
責任 ↑中国のパートナーシップ、NPT体制に重要
非核化
二国間のきずなを弱めるのではない
アメリカは 基本的価値観
宗教を尊重パートナーシップの精神
多国間の機関アメリカは多国間の機関をdisregard した these days are past
アジア太平洋の国家
that is the work
regional prosperity
ASEAN catalystアメリカ大統領 all 10 ASEAN
東アジアサミット
broader expert future① 経済同盟 balance sustained
迅速な行動、リセッションから立ち直る
国際的な協力G20 greater voice
G8 のメンバーとして日本は国際社会のアーキテクチャーを作る一員経済がboom bust を繰り返してはならない
imbalanced growth ×
depend × アメリカ消費
アジア輸出too heavily in debt 需要 ↓
輸出 ↓rare inflexion points in history
G20 ピッツバーグ balanced economic growth
シンガポール
Americans
save /spend less長期借り入れ ↓
輸出に力を入れるより高い生活水準
何十年間もアメリカは最も強くなるように
経済
ドーハ・ラウンド、輸出を増やす、
アジアのパートナーと協力する②気候変動
new energy 効率性 ↑
国際的枠組みコペンハーゲンでの成功へ努力
すべての国が責任をとる
アメリカは emitter の代表
新興国へ finance
technologytransparency/ accountability
地域を危険にさらさないcreative power
日本はその最前線 (拍手)③21世紀の課題、さらに20世紀の安全保障
核兵器 プラハ「核のない世界」演説 (拍手)
将来 great test
our very future hangs in the balance核の競争 何十年先をも危うくする
uphold basic premise核軍縮の責任
日本は世界に対しての例
keep this path何十年にもわたり日本はpeaceful
日本の立場を強めた
NPT (核サミット)
核物質 4年以内
global non proliferationイランと北朝鮮を含む
④北朝鮮 制裁を強めた
国連安保理決議
clear message別の道 work in tandem with partners
different future
× isolation
将来を変える
× 貧困 経済上の機会
よりよい生活6カ国協議へと戻る
NPT
fully verifiable 核のない朝鮮半島日本の拉致家族問題の解決 (拍手)
all of our Asian partners 21 c
extremists >innocents
piracy
infectious disease⑤人権
近代の奴隷制×
fundamental dignity of all humansアジア太平洋地域、〔伝統、歴史、文化〕
人権
安全保障、民主主義「自由と尊厳を求める」
人間の共通なる希求
・ 指導者を選ぶ
・ 言語、宗教
・ 法
・ 平等
安全の礎ミャンマー
指導部と対立/ 制裁民主的なミャンマー
〔clear steps〕 政治犯
end to → アウン・サン・スーチー
dialogue (government)アジア太平洋の人権
日本との強い人間関係share sense of purpose
50年間
強いきずな、先世紀の半ば
アメリカは日本のrealism
mediation「日本の奇跡」
地域へと広がった
何百万人もの生活が変わったband together
〔reduce the spread of deadly weapons〕young girl
body × mindtalent/ drive/claim
will takethis land of miracles
history tells us this is possible (拍手)America’s first Pacific President (拍手)
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このメモをみながらハイライトを振り返る。
大統領のバリトンのよく響く声は想像以上に感動的だった。しかし、何よりも感動的なのは演説で何を語っているかにあった。
きわめて巧みな導入部分は、抹茶アイスクリーム。green tea ice cream ではなくてmacchaという言い方をしたのも配慮が行き届いている。それに、鳩山総理は夕食会でさらにこのアイスクリームを出してくれた、というエピソードにつないだのも親密さの演出に一役かった。Obama, Japan という響きもとてもよく、日本で自分を歓迎してくれる人たちがいることに素直に感謝している気持ちがまっすぐに伝わってきた。
よくスピーチコンテストでも指摘することだがまず、最初に聴衆の心をつかんでぐっと引き寄せてから、本題に入っていく。本題のところでも、アイゼンハワー大統領の言葉を引用しながら、日米同盟がいかに重要化を説いている。日米安保改定50年をもうすぐあとに控えていることにも言及。日本がいかに世界で貢献したかを解いて、自分が太平洋地域に密接に関わっている、パーソナルストーリーを持ってくるところは、いつものオバマ大統領。ここでの拍手は一際、高かった。そのうえでこれからの世界においてはゼロサムゲームではない、という前提から、論をすすめる、というよく計算された構成だった。
中国に配慮をした内容であるし、APECが「触媒」になれるとの表現もうまい。地域としてまずは経済の問題に取り組むべきで、さらに気候変動・核不拡散の問題へと論をすすめる。プラハ演説のところでも大きな拍手。
それに個人的にも感激だったのが拉致被害者に直接、言及したところだった。会場に来ていたという拉致被害者のご家族の方の感激はいかばかりであっただろうか。ミャンマー問題にも直接触れた。ただ、アウン・サン・スーチーさんの「スーチー」の部分の発音がちょっと違うな、と思ったのだけがやや気になった。
アジア太平洋地域が文化に恵まれている、という話に入ったあたりから、そろそろ結論が近いと思ったが、日本の経済の奇跡に言及し、日本が大きな役割を果たせることを示したこと、日本を賞賛する内容とともに、自分を「初の太平洋大統領」と称したところ、大きな拍手がおきる結論だった。
よい演説は交響楽のような響きを持つ。
以前このように書いたが、現場で演説を聴いてまさにそう実感した。