今日のABCニュースのトップは
Obama urges C.I.A. not to be discouraged by memos
平たく言ってしまうとオバマ大統領がCIAに対し、CIAが拷問など過酷な尋問手段を用いていたという内部文書を公開したことで、あまり気落ちしないようにと励ました、というもの。
このニュースを聞きながら、通訳者仲間では「オバマ大統領が励ましてくれたら、気分が違うよね、だってオバマ大統領だものね」とおおいに納得したのでした。
そうです、通訳者仲間でも、いまもなお絶大なるオバマ人気。私たち通訳者仲間内でオバマ氏の支持は圧倒的なものがあります。やっぱり人間を納得させるような人間的な魅力というか、ひとをひきつけるオーラがあります。
それはただ、通訳者として一方的にその声を聞き、通訳している者にとっても感じられるものです。
たとえば、NATOサミットの終わったあとの記者会見での何気ないひとこと。
かなり記者会見が長引いたあとの何気ないひとことでした。
Let me-- I'm going to take just two more questions and I'll --from non-Americans. You guys weren't even on my list, but I'm adding you on so that -- and I want to make sure that the other world leaders treat my American colleagues well, too, though.
と、ここで笑いをとります。
そのあと、こうたたみかけたのでした。
Did Sarkozy give you guys any questions?
You see there?
There's got to be mutuality in the transatlantic relationship.
うーん、これはお見事でした!
スピーチライターがうまいから、オバマはスピーチが上手だなんて、誰がいうのでしょう。
即興のこういうしゃべり、実に巧みなのです。
記者のほうも引き込まれて、次のような質問をしました。
Sonja Sagmeister from a littel country, Austria, from Austrian Television.
そして最後に質問をしたもう一人の記者はアルバニアの記者でした。
記者会見はこうして笑いに包まれながら実になごやかに終了しました。
もっとも、これも演出だったとしたら?たいしたものですね。
今日のニュースに話をもどすと、おやと思ったニュースは二つ。
月例ベースで中国がアメリカを3ヶ月連続で抜いているということ。上海でのモーターショーはこういう背景もあって大いに注目されています。
あと、アメリカを衝撃に陥れたコロンバイン高校の銃乱射事件からこれで10年たった、ということ。被害にあった人たち、生き延びてそれぞれの人生を送っている3人が紹介されていました。survivor's guilt に苦しんだ、という話がありました。
訳しにくい言葉ですが、「生き残ったことへの罪の意識」としました。
もうひとつ、今日の経済ニュースで簡単なことなのに訳しにくかった言葉。
we need to put money to work in the market
別に難しい言い回しではありません。
意味を考えれば「活用」「運用」「儲けを出す」いろいろ言えたはずなのに、ぐっとつまってしまいました。
利益を生ませる、役立たせるなどと、なんだかわけのわからない訳出になってしまいました。
他にもこういう例があります。
経済の先行きを問われた場合、答えとしてよくアナリストやエコノミストが言うフレーズ
It will get worse before it gets better
これも、直訳しようとするとけっこう悲惨なことになります。
「よくなる前に悪くなる」
まあ、それでもわからなくはないですが、「経済好転の前に一段の悪化は避けられない」
さらにいってしまえば、
「景気の先行きは楽観できない」
で、いいように思います。
しかし、どこまでわかりやすい言い方をするのか、そこが考えどころですね。
もっとも、よくこんなふうに思います。
ニュースキャスターのよくいう言い回し、英語でも日本語でもストックをつくっておいて、どのようにいうのがわかりやすいか、状況別に対応策をつくっておけば、おそらくスムーズに対応できます。
同時通訳ができる、というのは自動化できる部分は自動化して、ぐっと言葉につまることによるエネルギーの無駄を最小化することともつながっていると思います。自動化できる部分が多くなれば、残る数少ない自動化できないところに、どのように伝えればうまく伝わるのか、もっとエネルギーを割いてじっくりと考えることができるのですから。