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2008年10月 アーカイブ

2008年10月02日

CBSイブニングニュース

今日の話題はまず、CBSの世論調査の数字から。
このところ、オバマ候補が4ポイントから最大9ポイントのリードをしているとい
う。共和党の大会が終わったあとはマケインリードの場面もあったけど、金融危
機が皮肉なことに、経済に弱いといわれるマケイン候補の致命傷になる可能性も
ある。 それと、ペイリン候補の馬脚があらわれてきた、というのも大きいようだ。
もともと、副大統領候補の討論会が大きな影響を与えたことはない、とはいうも
のの、一日後にせまった討論会に備えて、ペイリン候補が合宿していると伝えら
れたりして、いやがおうでも関心は高まっている。

通訳者仲間とも話題になっているけど、ケイティ・クーリックがインタビューを
したときの話。マケイン候補の政策について何か一つでも、自分が印象に残って
いるものを言うようにいわれて、「全部よ、全部」としか、いえなかったとか。
それでも、ケーティに答えを促されると、I will check into it, and get back
to ya. と、非常にくだけた言い方で答えたとか。you ともきちんといえないの
か、という感じだが、こうなると通訳者仲間で額をよせあつめて相談したのは、
これをどう訳したらよいものか、という話。

「調べてから、あんたに連絡するわ」

これでいい?

順当にいえば、こうだろうが、日本語ではあまり主語を言わないということだっ
たら
「うん、考えとくわよ、ね!」

くらいでもいいのかもしれない。

また、妊娠中絶についてやロー対ウェード判決についての意見を聞かれた受け答
えを聞く限り、憲法についてもあまり知識がないような。

ペイリン候補のメディア露出度は依然、多いけど全部が好意的ではなくなってき
たし、なかなか今後あと1か月以上あるとなるとむずかしいかも。


そして、今日の番組で最後にきたレポート。
Tent City と言うタイトルで、特にネバダ州リノというラスベガスから程遠くな
いところでの、ホームレスが暮らす場所。あまりにたくさんの人が集まるように
なったので、地方自治体がこの場所をフェンスで囲い、水道まで提供していると
か。しかし、仕事を探しているのにみつからない、1年前のクリスマスはポート
ランドの広い家で暮らしていたという中年カップルの苦しそうな表情は、まさに
アメリカの不景気に苦しむ人を象徴していた。

こういうリポートだと、アメリカの地名がいろいろと出てくるがそれぞれの地名
でどういうことを連想するのか、そのイマジネーションが働くかどうか、という
のもニュースを理解できるかどうかの重要なポイント。

ニュースを伝える放送通訳者としては、「地名を言うのが意味があるのか、それ
ともこの地名はどういうものの象徴として使われているのか」を解説したほうが、
親切なのかとついつい、考えてしまう。

2008年10月05日

最近のニュース用語から

最近ニュースででてきた表現で、気になるものをまとめておきます。
やっぱり、報道は言葉にこだわるものですね。 TARP Troubled Asset Relief Program

これを「タープ」と発音しているものですから、最初はtop 指導部?と発音したのか、と思い違いをしそうになりました。

tarp という普通名詞だと、災害のあとなどに家にかけられている、あるいはアメリカだとtent city といわれますが、公演や土手などに立ち並ぶホームレスのブルーのビニールシートを連想しますが、そうではなくて、「金融安定化法案」のこと。いまは法になりました。

問題にされているのが、果たしてこれがbailout (救済)なのかrescue (救援)なのか。
莫大な利益を得ているウォール街の幹部をすくうのはまっぴら、というのがもっぱらの声。

Wall St Main St. ウォール街の問題ではなくて、アメリカのふつうの人の暮らしに影響がでている、というのをメインストリート、という言い方で最近はあらわしていることが多い。

appeal to Joe Sixpack

これがサラ・ペイリンにとっての課題、というふうに副大統領候補討論会の前にいわれていました。要するに、6パック入りの缶入りビールを買ってきて飲むようなごく普通のアメリカ人、という意味。

Johnと Mary というのが、いわばアメリカでの太郎さん、花子さんでしょう。
もっとも、日本で太郎さんはいても、あまり最近花子さんはみかけないような?!

2008年10月09日

小さな幸せ

新聞にも出ていたけど、外にでたときどこからともなく、ほんのりとキンモクセ
イの香りがする、そういう時季になった。アンディとのいつもの散歩も、これだ
けでとっても何かほっとする気持ちがする。 それと、もう一つの今日の小さな幸せ。このところ、もう12才のアンディは後
ろ足が弱ってしまい、階段をのぼるのに手伝いが必要だったけど、今日は元気よ
く、勢いよく、一人で駆け上がっていくことができた。

やっぱり、自分の足で立ててこそ、というのは犬も同じなのでは?

アンディ、だいじょうぶまだ若いよ!がんばれ!と声をかけたくなった。

CNNj

いまや世界的にいちばんの問題となった金融危機。
今日もこの話題がいちばんでした そこで、どう訳そうかと考えた文章が二つありましたので、ご紹介します。

Traders watching the Asian market open are wondering what a new day will bring.

new, bring, open と私の好みの基本単語が満載ですが、このまま頭から直接訳してしまってもうまくいかないのでは?特に同時では、言葉数が多すぎてしまいます。

トレーダーたちは、アジア市場の寄付きを見守っていますが、新たな取引がどう展開するかを気にしています。


と、頭からの同時通訳ならするでしょうけど、一呼吸待つ余裕があるなら、次のようにするといいのでは?

アジア市場の寄り付きに注目が集まっています。

After several weeks and months of this global crisis, it's hard to find
the silver lining.

数週間や数ヶ月ものグローバルな危機の後、明るい部分を探すのは難しいです。

と、同時通訳ですとなりがちですがわかりやすいのは次のような訳ではないでしょうか。

長引く世界的な危機のなかで、明るさはなかなかみえません。


何がいちばん、このニュースで伝えたいのかを考えるとこのような訳にしたほうがいいのだろうと思いますが、同時通訳のときにこのような訳出は可能なのか。

今日も考え続けています。

2008年10月12日

BBC NewsNight

今日も、予想通り金融危機の話題でしたが、冒頭でガルブレイスの言葉が引用されていました。こういうとき、インターネット時代ですとありがたいもので、すぐに検索ができます。 すでに翻訳がでているものの場合は原則的にその翻訳を参考にします。「1929年の大規模なクラッシュの特徴は、最悪な状況がさらに悪化し続けたことだ」という訳がネット上でみつかりでしたが、オリジナルの英語は

'The singular feature of the great crash of 1929 was that the worst continued to worsen' Galbraith wrote in 1930.

であったのを、日本語で耳から聞くうえでは

ガルブレイスは「最悪な状況がさらに悪化し続けたのが、1929年の大恐慌の特徴」と、1930年に書いています。


としたほうが、ぱっと聞いたときにわかりやすいか、と思ってこのように放送しました。このあたりが、小さなこだわりでしょうか。

このあとに続く経済レポートは「どこまで今の危機が続くのか」というテーマでの取材を、1929年になぞらえて描写していますので、このように情報の順番を変えたほうが耳から聞いたらわかりやすいのでは、と、考えたのです。

こんなように、ひとつひとつ、毎日仕事をするたびに新しい発見があり、新しい喜びがあります。

2008年10月18日

第3回大統領候補討論会

大学院の入試やらいろいろある時期ですが、ようやく今日少し時間があったので研究室で、第三回大統領候補討論会を振り返りました。 今回はunderdog のマケインのほうを担当したいと申し出ました。
同時通訳だったのですが、どうしても難しかったところ、誤訳だったところがありました。その部分2箇所を以下に書きます。

Why would you want to do that - anyone in America - when we have such a tough time, when these small-business people like Joe the plumber are going to create jobs unless you take that money from him and spread thewealth around?

これが難しかった理由、いまから振り返ってみるとどこまでが区切りになっているのか、どこまでgoing to reate jobs に続いているのか、が正確にとれなかったからです。

spread the wealth around

の部分、ここを「富を拡散しないのが間違い」というふうに私は同時通訳のときに訳してしまいましたが、実際は落ち着いてこの部分をながめるとこうでした。

どうしてそんなことをする必要があるのでしょうか。

アメリカがこんな厳しい時期に直面しているときに、配管工のジョーさんのように小規模企業を経営している人たちが、職を創出しようとしているというのに。

その人たちからお金をとりあげて他に富を拡散しているから、うまくいかないのです。

あとでマケイン氏が別の言い方でオバマ氏を批判をしているのを聞いて、ようやくここの意味がわかったのですが、マケイン氏はオバマ氏のやり方だと小規模企業に税金を重くしてお金をすいあげ、しかもそのすいあげたお金を政府が勝手にばらまく、というのがよくない、と言う意味で「富の拡散」という言葉を使っていたのですが、私は逆に「富を拡大せねばならない」という意味なのだと勘違いしてしまいました。

しかも、plumber

配管工

を最初、鉛管工 えんかんこう

という変な単語を作っていました、、、

plumb (たしかフランス語では) plomb → 鉛

鉛の化学記号はPl だったか?Pb だったか?なんて、全然関係ないことまで頭のなかにぐるぐる回っていた次第です、、、(あとでみたらPb でした、、、)

お恥ずかしい。どうして、こういう全然しようもない連想がこのとき働いたのか、は謎です。

もうひとつ、難しかったのがこの箇所。

Congressman John Lewis, an American hero, made allegations that Sarah Palin and I were somehow associated with the worst chapter in American history: segregation, deaths of children in church bombings, George Wallace.

ジョン・ルイス下院議員というアメリカの英雄は、サラ・ペイリン氏と私がアメリカの歴史で最悪の章とかかわりがあると主張しました。人種隔離、教会の爆弾事件での子どもの死亡、ジョージ・ウォレス。


ここで難しかったのは、教会の爆弾事件での子どもの死亡、
ジョージ・ウォレス

と並列になっていたのが、どういう意味で言っているのか、全然ぴんとこなかったことです。おそらく、テロ事件で教会が爆破され子どもを含む多くが犠牲になった事件と、ウォレス氏の発言というのは別物だったのでしょう。

That to me was so hurtful. And Senator Obama, you didn't repudiate those remarks.

たいへんに心が痛みました。
オバマ上院議員はしかも、その発言を否定しなかったのです。


この「否定」というのが、前の部分を考えていたために、正確に出ませんでした。

というわけで、通訳も反省する点が多々あったのです。

さて、肝心の討論について。
今回の討論がgamechanger 流れを変えるかどうかが注目されましたが、それはどうやらかなわなかったかな、というのが実感です。

ACORN
Association of Community Organizations for Reform Now

即時改革地域社会組織連合(とでも訳す?)

にオバマ氏が働きかけて、不正に有権者登録をさせていたという噂。

しかし、一番のスターになったのは先ほどの部分に出たこの人でしょう。

Joe the Plumber

本名はなかなか発音しにくい名前、

Joe Wurzelbacher

ジョー、というのは一般に平均的なアメリカ男性の代表としても、ジョンと並んで使われる名前なので、たまたま「ジョーさん」という名前であったのも、使われた理由の一つだったかもしれないです。

あと、60年代の過激な思想の教育学者、Ayers 氏との関係もつかれましたが、いまいち、決定打に欠けました。

いろいろな思いとともに大統領選挙、あと20日をきりました。

2008年10月19日

BBCニュースナイト

今日は、10月17日夜イギリスで夜の10時半に放送のニュースナイト、今日の朝はゴルフがあって放送がなかったため、収録でした。日本時間21日の朝、5時台の放送です。 担当したなかで、世界の金融危機のあおりを強く受けているハンガリーのリポートがありましたが、まさに「世界の英語」の教材にとりあげたいようなハンガリーの人の英語での発言がありました。

英語の発音を聞き取るのがまず、大変でしたが、その部分は文章にあらわせません。こういうとき、つくづく思いますがどういう内容を話しているのか考えていれば聞き取れます。
当たり前ですが、内容がわかっていることは聞き取れますし、わからないものは聞き取れないです。

次の発言は文法的にも、間違いはありますがまあ、言いたいことはよくわかります。

Carlos Coelho, Haraszthy Vallejo Vineyards

I'm not talking the country down. Vulnerable means, that is, ah, us, as a young democracy that have not gone through any world crisis before, to them is what they are going to live(リーブに聞こえる)now, is something they have never lived before.

So it is the first experience. How is Hungary going to absorb that experience, that is unknown.

私の訳です。

この国が劣っていると言っているのではありません。経済に弱い部分を抱えているのは民主主義国家になって日が浅く、世界危機を経験していないからです。これから経験するのは今までになかったことなのです。ハンガリーがはじめての経験をどう乗り切っていけるか、未知数です。



次に出たのがこのジャーナリスト。自国通貨が弱くなっていると実感できるとユーロにしようとの意見にはずみがつく、という部分。

経済ジャーナリスト
Peter Juhasz

In these days and weeks, one of the positive changes in the attitude towards the Eurozone could solve - Euroskepticism was quite strong here and I think it would just submerge now. Because they an easily recognize (レにアクセントがくるはずがコにきているため、聞き取りにくかった)that if we already had the euro -then they would not have these problems with the exchange rates.

私の訳です。

ここ数週間、数日でユーロ圏への態度が好転しました。ハンガリーでは、ユーロに懐疑的な見方が強かったのが、下火になっています。すでにユーロになってさえいれば、最近の為替相場変動による問題に直面していないからです。


ハンガリーでは、借り入れをユーロや外貨で行っているため、自国通貨の価値減少が住宅ローンを借りている人にも重くのしかかっているのだとか。
世界の金融危機の深刻さが、いろいろなところに波及しているのをまざまざと感じさせるリポートでした。

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