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2010年1月 アーカイブ

2010年1月11日

わいせつ目的で女子高生襲う、男子高生逮捕

http://news24.jp/articles/2010/01/11/07151314.html

もう既に使われるようになって久しいのかも
知れませんけど、ハッキリと文字列となっているのを
僕が知覚したのは初めてです。

「男子高生」

「女子高生」は、もともとは、同音の
「女子校生」の支えもあって、女子高校の生徒の
意味だったのですが、いつの間にやら
女子の高校生の意味としても、拡大して使われるように
なりました。

でも、その一方で、男子の高校生は、
ずっと男子高校生のままだったのですが、
この度、「男子高生」と書かれるように
なりました。

まあ、当事者の間では、いまやDKなんでしょうけど。

「筆談ホステス」斉藤里恵さん、新成人にメッセージ

http://osaka.yomiuri.co.jp/possibility/news/ps100111a.htm

かわいそうな人でも
こんなに頑張っている。
障碍が無い幸せなわたしたちは、
もっとがんばらなきゃ!
という上から目線。
反吐が出ます。

オカマタレントをもてはやす目線と
基本は同じ。

--

まあ、斉藤さんは、それを「売り」に
してるわけですけど。
オカマタレントと同様に。

ろう者の本来の母語は、日本語ではなく、
日本手話。

日本手話でろう者が話すのをわかりたいのなら、
学習するか、あるいは、通訳を付ければよい。

弱者側、少数者側が、いつも
強者側、多数者側に歩み寄らなきゃならないのは
「世の道理」ではあるけれど、
歪んでいます。

--

「多数決イコール民主主義」みたいな
考え方もありますけど。

それは、多数派の暴力にも繋がるわけで、
やっぱり多数派には、歩み寄りなり
気配りをする余裕を持っていただきたい。

ところで、village sign languagesというのが
世界各地で報告されています。

村など小さなコミュニティーの一定数の
構成員がろう者だと、そこに住む聴者も
皆手話の使い手となるという。

一定数というのは、そんなに大きな割合で
なくてよくて、2~3%でいいらしいです。

マサチューセッツ州のマーサズビニヤード島の
過去の例とか、インドネシアのKata Kolok、
アフリカのAdamorobe手話などが知られています。

国としては、2~3%なんていう大きな数に
ならないので、そんな状況にはならないんですけど。

2010年1月15日

バとヴァ

日本語の書き文字、バ行と、ヴァ行について。

研究者レベルの人では、仮名のバ行と、ヴァ行を
書き分ける人が多いですが、
それは皆さん、程度の差はあれ、原語の原綴りを
知っているからできることです。

しかしながら、僕は、基本的にヴァ行を使わないことに
しています。恩師、E先生が、
「日本語では、まだ音素/b/と音素/v/が別々な
 音素として確立していない。また一般の人が
 バ行とヴァ行を書き分けようとしても、
 結構間違っている場合が多い。よって
 ヴァ行をバ行と区別して書くことはしない」
旨明言されていたので、それを踏襲しています。

実際、我が大学が以前あったところの近くの
鉄道駅には、「ヴァンフ Banff」という喫茶店が
ありました。

しかし、研究者レベルの書き物では、ヴァ行を
書かないということは、かなり少数派に
なってきており、プレッシャーを感じてもいます。

もとより、日本語でも、ヴァ行が発音し分けられる
ようになり、音素として確立するようになれば、
それに従って、仮名を書くようになるまでですが、
音素の確立は、そう近々には実現しそうにも
ありません。

というわけで、僕は、無駄な抵抗と思いつつ
レヴェルではなく、レベルと書くのです。

2010年1月24日

マクドナルド、シンガポールの十二支「ブタ」差し替えで謝罪

http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-13484720100123

イスラーム住民に配慮して、中国文化の十二支の
フィギュアを作る時に、
ブタ(日本ではイノシシ)をキューピッドに
入れ替えちゃったんだと。

そりゃ、文化を歪曲しちゃだめでしょ。
そういえば、かなり違うのですが、
日本手話で、「兄」や、「弟」を表現するときの
手形(しゅけい hand shape)は、中指を立てた
形なのですが、それが西洋のある文化圏では
侮辱に使われるとして、日本のとある教会の
教役者が、他の指に変えて表現したとか。

それは、別な社会方言etc.を作ってしまう
ということを知っていてわざとやるのなら
まあ、いいんですけど、日本手話コミュニティーに
対する批判が入っているとしたら、
それは、的外れです。

2010年1月28日

アバター超ヤバター

http://www.cyzowoman.com/2010/01/post_1416.html

「ヤバター」っていう、僕がいうところの
置き換え語、上書き語について。
というより、一般には、かばん語(portmanteau word)とか
呼ばれているのかも知れませんが、
圧縮合成語とか言ってもいいのかもしれません。
(用語を増やしてどうする?)

「圧縮合成語」の、合成前の元の2要素は、
「同じ音の並び」、「モーラ数」など、
共通点を持っていることが多いです。

マスゴミ(マスコミ+ゴミ)、
エログ(エロい+ブログ)など。

「ヤバター」は、上のキ○タ○の
発話では、すでに、「アバター」が
直前に言われているのでちょっと
的外れかも知れませんが、
「アバター、ヤバい」という
主述関係の圧縮合成かも
知れません。

マスゴミ、エログなんかでは、
「ゴミ」、「エロ(い)」などが
他方の名詞の修飾語だったので、
それとは違う、新しい組み合わせです。

と、言ったところで、
でも、やっぱり、「ヤバター」だけでは、
意味は通じにくく、
「アバター超ヤバター」と言わなければ
通じないとすれば、述語「ヤバい」に、
主語「アバター」が上書き参加し、
圧縮合成されたと考えるのが
妥当でしょうか。
まあ、繰り返し繰り返し使われる圧縮合成語ではなく、
一回限り、異化(ロ ostranenie、チェコ aktualizace)の
ために使われたものかも知れません。

それにしても、山崎監督の「アガター」は、
また別な分析をしなければなりません。
これは、(日本語音韻論では、分節音~
特殊モーラ音素を巻き込んでいますが)
プロソディーの「アバター」への
同化とでも言えるものでしょうか。
これも、繰り返し繰り返し使われるものではなく、
この一回限りの場面においてのみ、
有用だった言葉遣いなんでしょう。

<追記>

「アバターはヤバターだよ」って言う時の
「ヤバター」は、普通に、
「ヤバい+アバター」で、修飾語+名詞ですね。
何も目新しいこと無かったか。<笑>

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