« 2008年7月 | メイン | 2009年6月 »

2009年5月 アーカイブ

2009年5月16日

なぜタナナ言葉か?

私が1989年から1997年までアラスカで調査した言語は、上(かみ)タナナ・アサバスカ語(Upper Tanana Athabaskan)で、北アメリカの、アサバスカ・イーヤック・トリンギット語族(Athabaskan-Eyak-Tlingit language family、別名[狭義の]ナ・デネ語族 Na-Dene language family)のアサバスカ語派(Athabaskan branch)に属します。この言語は、アメリカ合衆国アラスカ州およびカナダ・ユーコン準州のユーコン川の支流、タナナ川(Tanana river)上流域で話されています。

一方、私が、2004年から現在まで、マダガスカルで調査している言語は、マダガスカル手話(Malagasy Sign Language, Tenin'ny Tanana Malagasy, TTM)です。通常は、tenin'ny tanana (teni ことば -n' LINKER ny DEF tanana 手)とだけ呼ばれます。すなわち手ことばです。

亜極北(subarctic)から、熱帯(tropical)へ、地理的にも全然違うところに移動したわけですが、不思議と、言語名のなかに、両方とも、tananaが入っています。片方は、川の名前、片方は、手という意味ですが。

2009年5月30日

「ポニョ」?音象徴

音象徴(おんしょうちょう)。
sound symbolism。

言語音から広がるイメージが
(単)語の意味へと連なる。

「でんしゃ」を
「でんちゃ」と言い換えると

なんとなく、子供っぽい
ニュアンスが付加される。

「さま」を
「ざま」と言い換えると
マイナス評価的なニュアンスが
付加される。

ところで、「ポニョ」って、
アニメ映画の中の
魚の女の子の名前だったのに、

最近、自分の体型を
「ポニョ」と称する人が
出て来ています。

魚の女の子の「ポニョ」に
体形が似ているということではなく、

これは、音象徴っぽいです。
「ポニョ」という音の並びに、
なんか、かき立てられるイメージが
あるのです。

なんか、締まってない感じ。

でも、大肥満体でもない。

標準体形よりちょっと太いだけだけど、
触れば、プニプニしていて
柔らかめ。

こういった、(言語)記号表現(=音形)と
(言語)記号内容(=意味、範疇)の
新しい形の結びつき方が、
いとおしいです。

2009年5月31日

続・音象徴

ところで、俳優、小林高鹿さんがブログで、
http://blog.livedoor.jp/takashika/archives/51829134.html
こう書いていました。

<前略>

「らっかん」のこの「っ」が、すぐ後に来る「かん」って音をより、カラリとした晴れのモノにしている。ってどうでもいいか、そんなことは!

<後略>

流石、役者さん。ことばの音に敏感で
いらっしゃいます。

--

ところで、オノマトペ「ゴックン」に関する、
声楽発声学の高牧康さんの説があります。
http://www.excite.co.jp/News/bit/E1234974237235.html

これを、以前僕は批判しました。

でも、それは、お説を「語源」であるかのように
捉えるのが間違っているのであって、
音象徴的な観点からは、強ち間違いと
言い切れないのかも知れません。

ただ、形態論的に言うと、「ゴックン」は
「ゴク」という語根を持ち、
共通の語根を持つ「ゴクゴク」、「ゴクリ」
などと語源的な関係があります。

About 2009年5月

2009年5月にブログ「タナナことば研究室」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2008年7月です。

次のアーカイブは2009年6月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。