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リューシャとヴォーヴァ

リューシャ(リュドミラの愛称)・ウリツカヤのお話とヴォーヴァ(ウラジーミルの愛称)・リュバロフの絵が絶妙のコンビネーションを見せている大人の絵本 『子供時代』 (新潮社、2015)について、月刊読書情報誌 『波』(2015年7月号)に作家の梨木果歩さんが素晴らしい書評を書いてくださった。

タイトルは、「リューシャとヴォーヴァがここにいた」
ちなみにこれは、本の裏表紙を飾るリュバロフの絵に塀が描かれていてそこに「リューシャとヴォーヴァがここにいた」という落書きがあるのだが、それにのっとったお洒落なタイトル。
梨木さんは、この書評の中で、「本人の五感と脈打つ世界との間に遮る何ものもない、一方的にやってくる世界の鼓動をそのまま無防備に全身で受け止めざるを得ない辛さと、新鮮なまま感受する謙虚さ――それらを支え、持ち堪えさせたのは、スターリン時代の暗い抑圧の中にあっても消し去ることの出来なかった、光溢れる生命の力の、強靭さそのものではなかったか」と記している。
そうなのだ。背景にスターリン時代の1949年があるのだ。それなのに子供時代はこんなにも愛おしくたくましく、そして神秘的だったのである。

梨木さんの書評の全文はこちらで読める。
 ↓
http://www.shincho-live.jp/ebook/nami/2015/07/201507_10.php


また、詩人の日和総子さんは『読売新聞』(2015年7月5日)で、「懐かしく瑞瑞しい子供時代」と題してこの本を取りあげてくださり、「1949年のモスクワらしき町に暮らす子供たちの日常を、著者は過度の感傷や郷愁や悲愴感などを交えず見つめ、そこに訪れる仄かに光り輝くひとときを、淡淡とした濃やかな筆致で描き出す」と評してくださった。

ちなみに、シュールなものもあり、リアルなものもあり、ユーモアとアイロニーを備えた独特の作品世界を持つウラジーミル・リュバロフは、こんな本を出している。彼自身が自伝的なお話と絵で綴ったアルバムだ。

ウラジーミル・リュバロフ 『物語、絵』 (モスクワ、GTO社、2011)

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2015年7月13日 01:13に投稿されたエントリーのページです。

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