リュドミラ・ウリツカヤの短編とウラジーミル・リュバロフの絵が絶妙な具合に融合している一種の「絵本」である 『子供時代』が、もうまもなく新潮クレストブックスから発売される。
このアンソロジーを訳したいという長年の夢がかなって、とても嬉しい。
通常のクレストブックスより丈を短くしてロシア語原本に合わせてあり、独特の雰囲気を持つリュバロフの絵のページが美しいフルカラー印刷だ。
奇跡に満ちた宝石のような物語集なのである。
「いちばん不幸でかわいそうなゲーニャがみなに敬われるカーニバル的な逆転劇が進行する。それは、いじめや戦争といった不条理に対する、ゲーニャの折り紙や母のピアノという 芸術の勝利 を意味するとともに、子供時代の奇跡の華やかな祝祭性と厳かな聖性を象徴するものとなっている」
―「訳者あとがき」より。