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2015年6月 アーカイブ

2015年6月 1日

ミニレクチャー 「物語はどのように作られるか」

国際日本研究センター長の野本京子先生にお声をかけていただき、ミニレクチャーをすることになった。

日時: 2015年6月19日(金)17:40~
場所: 事務棟2階 中会議室
主催: 東京外国語大学国際日本センター 比較日本文化部門+国際連携推進部門
タイトル: 「物語はどのように作られるか―ボリス・ピリニャークと日本」

ロシア語作家ボリス・ピリニャークは1926年に来日した直後、日本旅行記『日本の太陽の元』と短編「物語がどのように作られるかという物語」を書いた。
短編は日本が舞台で、ロシア人ソフィアと結婚する日本人作家タガキが登場する。
この日本人「タガキ」にモデルはいるのか? ピリニャークは当時の日本や日本の文壇をどのように受け止めたのか?
比較文学的な視点からお話しします。



2015年6月 3日

迫力の 『イワーノフ』 公演

6月3日(水)東京外国語大学のプロメテウスホールにおいて、来日中のシューキン演劇大学の卒業生らによる『イワーノフ』の公演が予定通りおこなわれ、ロシア語専攻の学生たちが授業の一環として観劇した。
招聘・主催は「ロシア文化フェスティバル日本組織委員会」。
本学の総合文化研究所が共催である。



 シューキン演劇大学のHPより。


シューキン演劇大学は1914年にエヴゲーニイ・ワフタンゴフがモスクワで学生たちに演劇指導をしたのが始まりで、昨年、創立100周年を迎えた。
名優ボリス・シューキンの名を冠するようになったのは1939年。
長い間、演劇・映画・テレビの世界に数多くの才能を輩出してきた。映画 『アンナ・カレーニナ』 で主役を演じたタチヤーナ・サモイロワもこの大学の出身だ!

今回、チェーホフの戯曲 『イワーノフ』 を演じたのは、ニーナ・ドヴォルジェツカヤ先生のクラスで学んだ人たちで、みな昨年6月に卒業したばかり。
ミハイル・セマコーフ先生の演出で、2年ほど前から 『イワーノフ』 を練習してきたのだという。



ちがはぐな人間関係、勝手な思い込み、空回りする愛、絶望と倦怠。
20代の「俳優の卵」たちが演じているとは思えないほど深いドラマが繰り広げられ、チェーホフの世界が遠い未来(すなわち現代)にまで投げかけたまなざしを充分に感じることができた。

上は、このイベントの手伝いをしてくれたゼミ生(一部)と「俳優の卵」たち。
下は記念写真。


プロメテウスホールの設営から字幕の準備、リノリウム貼り、撤収まで外語祭実行委員会(とくに語劇局)のみんなが全面的に協力してくれたおかげでスムーズに事が運んだ。
本当にありがとう!

2015年6月 4日

「ファンドーリンの捜査ファイル」 まもなく 2冊同時発売!

6月末に岩波書店よりボリス・アクーニンの 「ファンドドーリンの捜査ファイル」 シリーズが 2冊同時に発売される。
シリーズの第1作目でアクーニンの記念すべきデビュー作 『堕天使(アザゼル)殺人事件』 沼野恭子訳。われらがスーパーヒーローの誕生の物語である。



シリーズ第2作の 『トルコ捨駒スパイ事件』 奈倉有里訳。美少女ワーリャが露土戦争に乗りこんで事件に巻き込まれる痛快推理ドラマ。



いま最後の追い込み中だ。乞うご期待!
じつはこのシリーズの第3作 『リヴァイアサン号殺人事件』 と第4作 『アキレス将軍暗殺事件』 はすでに刊行されているので、上記2冊が出ると合計4冊になる。
たぶん4冊くらい揃うと、1作ごとにジャンルを変え、1作ごとに趣向を凝らしているアクーニンの「凄さ」が多少なりとも伝わるのではないかと思う。
アクーニンや「ファンドーリンの捜査ファイル」についてはこちらをご参照ください。
 ↓
https://www.iwanami.co.jp/moreinfo/024634+/top.html

2015年6月 6日

「愛弟子」 の結婚式

数年前に東京外国語大学ロシア語学科を卒業した中村実穂さんの結婚式に出席した。
お相手は、やはり本学の中国語科を卒業した徳山郁雄さん。
現在それぞれJALUXと電通で活躍しているビッグカップルだ。



代官山のとあるレストランで、メニューも新郎新婦が選んだという美味しい料理をいただきながら、ふたりの成長ぶりをスライドで楽しむ。細かいところまで心遣いの感じられる素敵な披露宴だった。
なにしろ実穂さんは、美しくセンスがいいだけでなく、行動力にすぐれていて、どんなことでも楽しむ能力があり、そのうえ知的好奇心旺盛。私の「愛弟子」第1号といえる存在である。
新郎の恩師、小林二男東京外国語大学名誉教授と私とで、乾杯のご挨拶をさせていただいた。
おめでとう! 心からおふたりの幸せを祈っています。どうかいつまでもお幸せに!

もうひとつ嬉しかったのは、同じテーブルに懐かしい顔ぶれが集まったこと。
ゼミ生だった大西さん(島津製作所)、伊藤さん(大成建設)、早稲田の学生だったのに私の大学院の授業に参加してくれていた東出さん(九州大学大学院)と久しぶりに話ができて楽しかった。
みなそれぞれの道をしっかり歩んでいて、頼もしくまばゆいばかりだ。


2015年6月 9日

NHKラジオ 夕方ホットトーク「変わるロシア社会」

NHKラジオ第一の「夕方ホットトーク」という番組に出演することになった。
6月15日(月)17:30-17:45
「文学から見たロシア社会」というのがテーマだが、生放送だというので今からちょっと緊張している。
聞き手を務めてくださるのは、NHKモスクワ支局長やウラジオストク支局長などを歴任してきた解説委員の山内聡彦さん。
山内さんは東京外国語大学ロシア語学科出身の先輩だが、先日の打ち合わせで初めてお話しさせていただいた。
どうぞよろしくお願いいたします。



2015年6月12日

漫画 『きのこくーちか』

新國(にっくに)みなみさんという漫画家による漫画単行本 『きのこくーちか』 (小学館)が出た。
京都を舞台に、ロシア人のワーニャと日本人のゆん太が、キノコ尽くしの共同生活をしているという、なんとも不思議なお話。
ワーニャはロシアのグッズを仕入れているバイヤー。ゆん太は「キノコ・アーティスト」という設定だ。
ふたりのキャラクターが面白いうえ、ほんわかした雰囲気も癒される。キノコについて薀蓄が傾けられているのもいい。なにしろ、第1話がオニフスベ、第2話ベニテングタケ、第3話ヤマブシタケ......と次々にキノコが取り上げられ、レシピまでついているのだ。

ロシア語の出てくる場面があり、ちょっと監修のお手伝いをした。


2015年6月19日

馬車文化

1週間後(6月26日)に発売となるボリス・アクーニンの歴史推理小説「ファンドーリンの捜査ファイル」2冊の表紙が決定。

アクーニン『堕天使(アザゼル)殺人事件』沼野恭子訳、岩波書店。
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表紙中央に馬車が配されているが、実際、作中にいろいろなタイプの馬車が出てくる。ロシア語では、馬車のタイプによってそれぞれ名称が異なるのだが、日本語ではそれに相応するものがなく、置き換えるのに苦労した。
карета(4輪箱馬車、バネ付き)、дрожки(軽4輪馬車、屋根なし)、экипаж(4輪馬車、バネ付き)、пролётка(4輪馬車、屋根なし、2人乗り)...。
日本語はどう考えても「馬車」の一語しかないので、この名詞にいろいろ形容語句をつけて区別するしかない。今さらのように、日本では馬車文化が発達しなかったのだなと思い知る。


アクーニン『トルコ捨駒スパイ事件』名倉有里訳、岩波書店。
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2015年6月24日

手作りブリヌィ・パーティー

3年ゼミで「実践的ロシア文化体験」をおこなう。
大学近くの紅葉丘文化センター(調理室)を借りてのブリヌィ・パーティだ。

作ったブリヌィは2種類。
玉ネギとサーモンのマリネに生ハム、スメタナという贅沢御馳走ブリヌィ。
バナナとキウイとラズベリーに生クリームのデザート・ブリヌィ。
いろいろな形とさまざまな色に焼けた個性豊かな(?)ブリヌィにトッピングしているところ。
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牛肉と野菜たっぷりの具だくさんシチー(キャベツ・スープ)も作る。
手前の鍋でシチーを煮ているところ。
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「いただきま~す」の前に記念撮影。
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この後、食べながら、いつものようにロシア文化のプレゼンを行う(根性ある...)。
美味しかったし、満足!
企画から料理メニュー、文化センターの手配、買い出し、段取りまですべて担当してくれた渡邉さん、芝中さん、福冨さん、ご苦労様でした!

2015年6月26日

大人のための絵本―ウリツカヤの 『子供時代』


リュドミラ・ウリツカヤの短編とウラジーミル・リュバロフの絵が絶妙な具合に融合している一種の「絵本」である 『子供時代』が、もうまもなく新潮クレストブックスから発売される。
このアンソロジーを訳したいという長年の夢がかなって、とても嬉しい。
通常のクレストブックスより丈を短くしてロシア語原本に合わせてあり、独特の雰囲気を持つリュバロフの絵のページが美しいフルカラー印刷だ。
奇跡に満ちた宝石のような物語集なのである。

「いちばん不幸でかわいそうなゲーニャがみなに敬われるカーニバル的な逆転劇が進行する。それは、いじめや戦争といった不条理に対する、ゲーニャの折り紙や母のピアノという 芸術の勝利 を意味するとともに、子供時代の奇跡の華やかな祝祭性と厳かな聖性を象徴するものとなっている」
     ―「訳者あとがき」より。

2015年6月28日

情熱のプレゼン

先日、2年生のロシア語の授業で、班ごとにプレゼンを行った。
題して「ЖЗЛ(偉人伝)プロジェクト」。ロシアの著名人を取りあげ、パワーポイントを使ってその業績をロシア語で紹介するというグループ学習だ。

とりわけ評判が高かったのはユーリイ・ガガーリンを取りあげた班で、渥美くんの堂々たるプレゼンがよかった。
 ↓


渥美くんは、原稿(自分で作文したもの)をただ読み上げるのではなく、聴衆の方を見て、聴いている人に語りかけるようにわかりやすく話してくれた。
しかも「衣裳」はガガーリンの顔がプリントされたTシャツ(ちなみに、背中には「СССР」とあった)!
情熱の伝わってくるプレゼンテーションだった。

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