« 2015年4月 | メイン | 2015年6月 »

2015年5月 アーカイブ

2015年5月 2日

「世界を食べよう!」 プロジェクト

2年ほど前から取り組んできた「世界を食べよう」プロジェクトの中心的な課題が大詰めを迎えようとしている。
それは、東京外国語大学出版会から 『世界を食べよう!―東京外国語大学の世界料理』 という本を出すことである。
外大の30名を越える先生方から、それぞれ研究している地域の食文化に関する原稿をいただいた。
ネイティヴの先生方にもご執筆いただいているし、写真部や外語祭実行委員など学生にも協力してもらっている。



レシピと写真をふんだんに盛り込んで、世界の多様性を 「食」 の領域で提示する本を作りたいという思いで始めたこのプロジェクト。
私は、企画からコーディネーター、編集者まがいの仕事まで自ら抱え込んでいるが、それはひとえに楽しいから。最初のうちは、「世界料理の書」を夢見てあれこれ空想を膨らませていたが、集まってきた原稿は予想をはるかに超えて面白く素晴らしい! 歴史的な背景を語ったもの、文化人類学的アプローチのもの、文学と絡めたもの、香り高いエッセイ、ユーモラスでほのぼのしているもの...。
どれもこれも美味しそう!

当該地域の食のありようを、専門家ならでは深い考察とともにさまざまな視点から切り取った、本格的な 「世界料理」 の本が今できあがりつつある(興奮!)。
東京外国語大学というのは、こうした本を作るのにまさに打ってつけの大学であった。本当にすごい専門家集団なのだと、あらためて母校に誇りを感じる。

『世界を食べよう!―東京外国語大学の世界料理』 はコンセプトとして、1冊で世界各地の料理が目で楽しめ(写真)、実際に作って味わうこともでき(レシピ)、文化的・歴史的・社会的背景が深く理解できる(情報)という欲張りな目的を掲げている。単なる料理本ではなく、食文化について「薀蓄」を傾けるほうにむしろ比重を置いている。

さて、どんな感触のどんなデザインの本にするか、検討課題はまだたくさんあるけれど、ぜんぜん苦にならない。編集プロセスに関わりながら、本を作るというのはこんなに楽しいことだったのか、とちょっぴり編集者を羨ましくさえ思っているほどだ。

2015年5月10日

ウズ爺たち

『群像』 2015年6月号の「私のベスト3」という欄にエッセイ 「ウズベキスタンの3不思議」 を掲載していただいた。
この中で 3つ目の不思議に挙げた「ウズ爺」とはウズベキスタンで買ってきた置物で、こんな姿をしている。ちょっとご披露。



タシケントで土産物店に入ったら、ウズ爺たちがいっせいに笑いかけてきた(ちょっと不気味な感じがなきにしもあらず?)。
みなにこにこしている。七福神の布袋様のようなものだろうか。
5センチほどの可愛らしいのもあれば、1メートル以上もありそうな大きなものもあった。



ちなみに 『群像』のこの号は、これまで連載してきた沼野充義による「チェーホフとロシアの世紀末」が第14回目をもって完結した。
モテモテだったチェーホフの女性たちとの関係、サハリン行き、動物モチーフなど、新しい「発見」が随所にある。
私がいちばん面白かったのはこの最終回、とくにチェーホフの死とシャンペンにまつわるエピソードだ。

2015年5月12日

ユーラシア世界を知るための市民教養講座


8月に幕張で開催される国際東欧・中欧研究協議会 (ICCEES) 第9回世界大会を記念して、 <ユーラシア世界を知るための市民教養講座> を千葉市で開催する。

会場:千葉商工会議所12階 研修室A 
〒260-0013 千葉県千葉市中央区中央2-5-1 千葉中央ツインビル2号館
予約不要、当日先着順(定員96名)、入場無料。

講座は、以下の2シリーズ。
【シリーズ1】 <今後のユーラシア動向> (5月20日~6月10日、全4 回)18時30分~20時30分
コーディネーター:下斗米伸夫(法政大教授・ICCEES 幕張世界大会組織委員長)

5/20(水) 「ウクライナ動乱後のユーラシア:秩序回復は可能か?」 松里公孝(東大教授)
5/27(水) 「ユーラシア取材30年:旧ソ連の激動と日ロ関係を追い続けて」 大野正美(朝日新聞特派員)
6/3(水) 「ウクライナ危機とロシア経済の展望:ロシア・EU関係の変化とロシアの東方シフト」 蓮見雄(立正大教授)
6/10(水) 「新興国カザフスタンの光と影:贈収賄の蔓延と人々の暮らし」 岡奈津子(日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員)

【シリーズ2】 <ロシア東欧の文化と芸術> (6月13日~7月25日、全5回) 14時~16時30分
コーディネーター・司会:沼野充義(東大教授・ICCEES 幕張世界大会組織委員長)+ 野中進(埼玉大教授)
 
6/13(土) 「文学のヴィジョン、音楽のエクスタシー:ロシア小説と音楽への誘い」 望月哲男(北大特任教授・ロシア文学会会長)+ 亀山郁夫(名古屋外大学長)
6/20(土) 「目と耳の快楽:ロシアの美術と詩歌」 鴻野わか菜(千葉大准教授)+ 坂庭淳史(早大准教授)
6/27(土) 「バレエと映画:踊るロシア、観るロシア」 村山久美子(舞踊史・舞踊評論家)+ 佐藤千登勢(法政大准教授)
7/18(土) 「ロシアの歴史と食文化:暮らしと食へのまなざし」 池田嘉郎(東大准教授)+ 沼野恭子(東京外大教授)
7/25(土) 【シンポジウム】「スラヴ文化の広がり:ウクライナ・ポーランド・旧ユーゴスラヴィア」 V・スロヴェイ(翻訳家・通訳)+ 松尾梨沙(東大大学院博士課程)+ 亀田真澄(東大助教)

詳しくはこちらをご覧ください。
 ↓
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/makuhari2015/japanese_lecture02.html

About 2015年5月

2015年5月にブログ「沼野恭子研究室」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2015年4月です。

次のアーカイブは2015年6月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。