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ボローニャから東京へ

11月は通常の学務の他に、講演会+懇親会が3つ、外語祭とロシア会(東京外国語大学ロシア語学科の同窓会)がありイベント続きだったのだが、さらにその合間にボローニャに出張した。
11月24、25日の両日、ボローニャ大学で、日本学術振興会「頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム」による東京外国語大学研究事業の締めくくりとして、シンポジウム「身体のランドスケープ――変容の知覚・記述・体現」をおこなった。

そのシンポジウムで、ボローニャ大学のラッファエレ・ミラーニ教授が発表した報告内容にいたく感銘を受けた。報告はイタリア語だったので、若手研究者の小久保真理江さん(イタリア文学)に概要を教えてもらった。人間の自然へのさまざまな働きかけが、自然を「生きた彫刻」にするというもので、歩くこと自体もまた「自然」に足跡を刻みつける彫刻刀のしぐさに似ているという(後半はちょっと私の勝手な解釈が入っているかもしれない)。私たちの何気ない振舞いそのものが「自然」への、「世界」への、芸術的行為になり得るとは、なんて素敵な考えだろう。

ちょうどミラーニ氏の著書が日本語になったばかりだという。
東京に戻ってから、頭脳循環プロジェクトをずっと一緒にやってきたリーダーの和田忠彦さんにその訳書をいただいた。



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ラッファエレ・ミラーニ 『風景の美学』 加藤磨珠枝・池田礼・長友瑞絵・深田麻里亜訳(ブリュッケ、2014)。

いつになったら時間がとれるか覚束ないが、この本を読みながら少し落ち着いて自然や風景、それに向けられる人間のまなざしについて考えてみたいものである。

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2014年12月 9日 00:33に投稿されたエントリーのページです。

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