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2014年4月 アーカイブ

2014年4月 8日

『東京外国語大学 学部入学案内 2015』

2014年度が始まったばかりだが、来年度の受験生のための冊子 『東京外国語大学 学部入学案内 2015』 ができあがった。

2つの学部(言語文化学部と国際社会学部)の理念やカリキュラムをこれまでよりもわかりやすく伝えている他、本学が力を入れている英語教育プログラムGLIP (Global Linkage Initiative Program)、本学で学べる世界14地域27言語の授業、国際交流のシステムや実績、キャリアサポート、キャンパスライフ、サークル活動などを紹介している。
もちろん入試情報も掲載されている。

例えば、多文化多言語キャンパスの様子はこんな感じでカラフルに紹介されている。
 ↓

オープンキャパス(7月26日、11月22日)などで配布しますので、お楽しみに。


2014年4月15日

ナボコフ・シンポジウム 本学で開催

来る4月26日(土)本学にて「ナボコフとロシア文学」と題する講演と国際シンポジウムを開催する。
ロシア出身の亡命作家で『ロリータ』の作者でもあるウラジーミル・ナボコフとロシア文学の関係を考察しようというイベントである。本学総合文化研究所と日本ナボコフ協会の共催でおこなう。

講演をしてくださるのは、カリフォルニア大学バークレー校スラヴ語スラヴ文学科・比較文学科のエリック・ナイマン教授。ナボコフ研究の他、初期ソビエト・スターリン時代の文化とイデオロギー、ジェンダー研究、ソビエト医学史が専門。主要な著書に、Eric Naiman, Nabokov, Perversely (ナボコフ、倒錯的に) (Cornell University Press, 2010) がある。

国際シンポジウムのほうは 「ナボコフの 『ロシア文学講義』 を再読する」
ナボコフは、1941年よりアメリカのウェルズリー大学やコーネル大学でロシア文学に関する講義をおこなっていた。そのノートをまとめたものが 『ロシア文学講義』で、ロシア文学をナボコフならではの独自の視点で解読した講義録として名高い。トルストイを「ロシア最大の作家」として評価し、ドストエフスキーを「凡庸な作家」としてこきおろし、政治的な理由からソ連文学をほぼ全面的に否定している。その中身を再確認し検証する。
なお邦訳は、ウラジーミル・ナボコフ 『ナボコフのロシア文学講義』 小笠原豊樹訳、河出文庫(上下)。

日時: 4月26日(土)14:00-17:50
場所: 研究講義棟 115教室、一般公開

プログラム: 
14:10-15:30 特別招待講演(英語、通訳なし)
Eric Naimanエリック・ナイマン(カリフォルニア大学バークレー校教授)
"When Nabokov Writes Badly: Tolstoyan Aesthetics and Morality in Laughter in the Dark"  
司会:三浦笙子(東京海洋大学名誉教授)

15:50-17:50  国際シンポジウム 「ナボコフの 『ロシア文学講義』 を再読する」
諫早勇一(名古屋外国語大学特任教授/同志社大学名誉教授)
 「ナボコフとナボコフ 『ロシア文学講義』 とゴーゴリ」
亀山郁夫(名古屋外国語大学学長/元東京外国語大学学長)
 「ナボコフのドストエフスキー批判は正当なものか?」
望月哲男(北海道大学スラブ研究センター教授/日本ロシア文学会会長)
 「比喩論に見るナボコフのトルストイ観」
沼野恭子(東京外国語大学教授)
 「ナボコフのチェーホフ評価――ソルジェニーツィンと比較して」
沼野充義(東京大学教授)
 「ナボコフとソ連文学」
コメンテーター:エリック・ナイマン
司会:若島正(京都大学教授)


http://www.tufs.ac.jp/event/general/post_494.html

2014年4月23日

ラブ・ストーリー

大学院の授業では毎週、現代ロシアの短篇をひとつずつ読んでいる。
担当者がレジュメを作り、作者について、物語の梗概や作品の特徴について、顕著なモチーフや文体について、現代ロシアの文壇における位置づけについてプレゼンをおこない、みなでコメントし合う。

先週は、ユーリイ・マムレーエフの短篇 「ラブ・ストーリー」 を取りあげた。
『愛のアンソロジー』 (ザハロフ社、2008年)という短篇集に収められている作品。
こちらがアンソロジーの表紙。
 ↓


マムレーエフの短篇は、ふつうに想像する「ラブ・ストーリー」とはかけ離れていて、かなりグロテスクだ。
さほど好きでもなかった女が自殺したら彼女のことをものすごく愛すようになって結婚する(つまり死者と!)。しばらくすると彼女への愛は冷めるが、彼女の弟が自殺すると今度は彼への愛に目覚めて姉とは離婚する(つまり死者と!)。またしばらくすると彼への愛が冷め、今度はその妹が自殺して彼女への愛を感じる...。

死者への愛、いわゆるネクロフィリアだが、エロティシズムがあまり感じられないし、怖いというより全体的に奇妙な作品だった。この奇妙さ、どことなくペトルシェフスカヤの短篇にも通じるものがありたいへん面白かった。

今週は、同じアンソロジーから取ったスヴェトラーナ・ワシレンコの 「パトリアルシェ池のルサールカ(水の精)」 を読む予定。
これまた面白い作品で、イワン・クルィロフの動物寓話とフォークロアを合わせて現代風にアレンジしたようなものだ。

2014年4月27日

ナボコフ・シンポジウム 無事終了

4月26日(土)予定どおりナボコフとロシア文学に関するイベントをおこなった。
「ナボコフの 『ロシア文学講義』 を再読する」 と題するシンポジウムでのパネリスト報告は以下のとおりだった。

諫早勇一(名古屋外国語大学) ナボコフのゴーゴリ評価をドミートリイ・ミルスキーの 『ロシア文学史』 と比較。「ポーシュロスチ(俗悪さ)」その他について類似点があるが、ウクライナものの評価は相違している。
望月哲男(北海道大学) ナボコフが指摘するトルストイの 『アンナ・カレーニナ』 の比喩の特徴は「機能的・倫理的比喩」。水のテーマをめぐる比喩の連鎖が見られる。
亀山郁夫(名古屋外国語大学) ナボコフのドストエフスキー批判に対する批判的アプローチ。文学を「神聖なゲーム」と捉えるナボコフの文学観に合わないのだろう。
沼野恭子(東京外国語大学) ナボコフのチェーホフ評価とソルジェニーツィンのチェーホフ批判は、チェーホフの同じ資質を正反対に受けとめたもので対照的。
沼野充義(東京大学) ナボコフの「ソ連文学」への複雑な姿勢について。オレーシャとナボコフには親近性がある。



会場には予想を上回る聴衆が集まった。
パネリストの報告の後、エリック・ナイマン(カリフォルニア大学バークレー校) がコメントをし、会場からの質問も受けつけた。



母校の東京外国語大学で、ロシア文学の先輩たちをお呼びしてこんなイベントを催すことができたなんて、私としては感慨に堪えない。
そういう機会を与えてくださった日本ナボコフ協会の皆様に心より感謝申し上げます。
またロシア文学研究者のみならず、一般の方や、本学をはじめ東大、慶應大、東北大、早稲田大、創価大の院生や学生が来てくださったことも嬉しかった。

「縁の下の力持ち」として会を支えてくれたスタッフのみんな(笹山啓ユニットリーダー、鎌田紗矢香、市川愛実、カーチャ・ナザランカ、コースチャ・ズーエフ、豊田宏)に心から感謝します!

シンポジウム後の懇親会でナボコフ協会の方たちと。
 ↓

2014年4月28日

「ソヴィエト・フィルム・クラシックス」


来る6月7日(土)から6月20日(金)までの計14日間、「ソヴィエト・フィルム・クラシックス」 として旧ソ連映画の特集上映がおこなわれる。
ソヴィエト時代に制作された映画30本を一挙上映するという。
場所は 「オーディトリウム渋谷」(東京都渋谷区円山町1-5  KINOHAUS 2F)

キルギスあり、グルジアあり、ウクライナあり。
悲劇もあればコメディもあり、戦争ものもあれば恋愛ものもある。
多彩な魅力に浸りたい。

詳しくはこちら。
 ↓
http://www.athenee.net/culturalcenter/program/s/sfc.html

6月7日(土)
 13:30 「長い見送り」(95分)
 15:30 「猟人日記ー狼ー」(75分)
 17:10 「灰色の石の中で」(83分)
 19:00 「青春讃歌」(93分)
6月8日(日)
 12:10 「ロンリー・ウーマン」(89分)
 14:10 「宿なしレオニード」(88分)
 16:10 「スタフ王の野蛮な狩り」(109分)
 18:30 「炎628」(143分)
6月9日(月)
 13:00 「炎628」(143分)
 15:50 「長い見送り」(95分)
 17:50 「猟人日記ー狼ー」(75分)
 19:30 「灰色の石の中で」(83分)
6月10日(火)
 13:00 「青春讃歌」(93分)
 15:00 「ロンリー・ウーマン」(89分)
 17:00 「宿なしレオニード」(88分)
 19:00 「スタフ王の野蛮な狩り」(109分)
6月11日(水)
 13:30 「タシケントはパンの町」(85分)
 15:20 「恋するものたち」(83分)
 17:10 「七発目の銃弾」(84分)
 19:00 「戦争のない20日間」(102分)
6月12日(木)
 13:30 「灰色の狼」(96分)
 15:30 「白い鳩」(99分)
 17:40 「僕の無事を祈ってくれ」(81分)
 19:30 「タシケントはパンの町」(85分)
6月13日(金)
 13:10 「恋するものたち」(83分)
 15:00 「七発目の銃弾」(84分)
 16:50 「戦争のない20日間」(102分)
 19:00 「灰色の狼」(96分)
6月14日(土)
 13:30 「白い鳩」(99分)
 15:40 「僕の無事を祈ってくれ」(81分)
 17:30 「戦火を越えて」(92分)
 19:30 「結婚」「傘」「ピロスマニのアラベスク」(計60分)
6月15日(日)
 12:50 「嘆くな!」(94分)
 14:50 「ルカじいさんと苗木」(90分)
 16:50 「田園詩」(98分)
 19:00 「希望の樹」(108分)
6月16日(月)
 12:40 「若き作曲家の旅」(104分)
 14:50 「転回」(100分)
 17:00 「青い山/本当らしくない本当の話」(95分)
 19:00 「戦火を越えて」(92分)
6月17日(火)
 13:30 「結婚」「傘」「ピロスマニのアラベスク」(計60分)
 15:00 「嘆くな!」(94分)
 17:00 「ルカじいさんと苗木」(90分)
 19:00 「田園詩」(98分)
6月18日(水)
 12:20 「希望の樹」(108分)
 14:40 「若き作曲家の旅」(104分)
 16:50 「転回」(100分)
 19:00 「青い山/本当らしくない本当の話」(95分)
6月19日(木)
 12:20 「赤いりんご」(83分)
 14:10 「白い汽船」(100分)
 16:20 「白い豹の影」(134分)
 19:00 「ナーペト」(93分)
6月20日(金)
 12:30 「ナーペト」(93分)
 14:30 「赤いりんご」(83分)
 16:20 「白い汽船」(100分)
 18:30 「白い豹の影」(134分)

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