『東京新聞』 夕刊文化面に「世界の文学」というリレーエッセイの欄がある。
3月25日(火)その欄でリュドミラ・ペトルシェフスカヤのことを「多才な作家」として紹介させていただいた。
ペトルシェフスカヤにはいろいろな顔がある。
まずは長編 『時は夜』 吉岡ゆき訳(群像社、1994年)に代表されるダーク・リアリズム作家としての顔。
それから短編アンソロジー 『私のいた場所』 (河出書房新社、2013年)に示された幻想作家としての顔。
それだけでなくペトルシェフスカヤは、ユーリイ・ノルシュテインのアニメ 『話の話』 に協力したシナリオライターでもあり、童話作家でもある。「子豚のピョートル」は大人気だ。
そもそも劇作家だったことを忘れてはならないし、絵も描けば歌もうたう。
昨年は生誕75周年を記念して、モスクワ市文化局主催で「ペトルシェフスカヤ・フェスティバル」が開催された。ノルシュテインとの絆が紹介され、俳優たちが彼女の作品を朗読し、ペトルシェフスカヤ・キャバレーも催され...と盛り上がったようだ。
その多彩な魅力はまだまだ日本に充分紹介されたとは言えないのである。
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ペトルシェフスカヤ 『野生動物のお伽噺』 (アストレリ社、2012年)
この表紙はノルシュテイン 『話の話』 の灰色オオカミの子では?