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祝刊行 シニャフスキー 『ソヴィエト文明の基礎』

昨年の4年ゼミではシニャフスキーの 『社会主義リアリズムとは何か』 を読んだが、そのシニャフスキーのソルボンヌ講義、待望の日本語訳が今日ついに刊行された。素晴らしいクリスマスプレゼント!

アンドレイ・シニャフスキー 『ソヴィエト文明の基礎』 沼野充義・平松潤奈・中野幸男・河尾基・奈倉有里 共訳、みすず書房、2013年。

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同じ亡命作家でも、作品は幻想的なものが多く思想的にはリベラルな態度を貫いたシニャフスキー(1925-1997)と、作品はリアリズムで思想的には民族主義的傾向が強かったソルジェニーツィン(1918-2008)とは、どこまでも対照的だ。
この著書でシニャフスキーが論じているのは、ソヴィエトという社会制度のなかで培われた「ソヴィエト的心性」とは何かという問題である。ソヴィエト国家がいかに疑似宗教的であり、ロシアの文学者たちがいかに強い宗教的志向をもっていたかということである。もちろん、社会主義リアリズムは一種の宗教だという彼の主張と響きあっている。

現代ロシア文化を学ぶ者には必読の書だと思う。
ちなみに、本書の表紙を飾っているのはエル・リシツキーの有名なポスター「赤い楔(くさび)で白を撃て」で、現在、神奈川県立近代美術館(葉山)で展示されている。お見逃しなく。

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2013年12月25日 23:04に投稿されたエントリーのページです。

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