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ポスター展 「ユートピアを求めて」

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アヴァンギャルド・ポスターを見に神奈川県立近代美術館(葉山)の「ユートピアを求めて~ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム展」に行ってきた。
デザイナー松本瑠樹さんの収集したコレクションの一部を公開したもので、質量ともに充実していてとても楽しめた。
松本氏は2万枚以上のポスターを所蔵。1997年にはニューヨーク近代美術館で「ソビエト・デザイン革命の構築/ステンベルグ兄弟展」を開催して国際的な評価を得たという。たしかに今回も77点に及ぶステンベルグ兄弟の映画ポスターが最もインパクトがあったように思う。

斜めの線によって画面を大胆に分断していくつかのパートに分け、さまざまな直線、曲線と組み合わせることでリズムとスピード感を出す。人間の身体も一部だけ提示されていたり、さかさになっていたり、斜めになっていたり。意外な断片同士が並置されることによって不思議な浮遊感と新鮮さが生じている。これぞメトニミーとモンタージュに基く映画手法に通じるものではないか。

あるインタビューで松本氏は「ポスターは時代を映す鏡」だと語っている。
これらのポスターはまさに20世紀初頭ロシアの熱狂的な息吹を、ロシアの芸術家たちの果敢な実験精神を、彼らが脇目も振らずユートピアに向かって猛進した後ろ姿を今に伝えてくれる。


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2013年12月22日 11:46に投稿されたエントリーのページです。

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