渋谷Bunkamura の 「レオナール・フジタ」展に行く。藤田嗣治(1886-1968)である。
彼は1913年パリに渡り、モディリアーニやスーチンらと親しくしていた。
ちなみに、Хаим Сутин (ハイム・スーチン 1893-1943)は現在のべラルーシ(当時ロシア帝国領)に生まれ、リトアニアのヴィリニュスを経て同じく1913年にパリに行っている。
日本に戻って戦争協力に加担してしまったフジタは、1949年ふたたびパリに行き、もう日本へは戻ってこなかった。そして1950年代末に「小さな職人たち」というタイル画シリーズを制作した。今回のフジタの展覧会でとりわけ気に入ったのがこの連作だ。子供たちがさまざまな職人に扮している。
例えば「椅子職人」
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「ポスター貼り」
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どれも現実の子供ではない。表情はなく、いたって真面目で(それゆえ?)どことなく愉快である。人間というよりは、フジタが愛したネコみたいだ。そういえば、チラシの表紙になっているいちばん上の絵「誕生日」(1958年)の子供たちも、まるでネコのような顔をしている。
それに比べると、スーチンの「職人」は荒々しい。同じパリの空気を吸い、同じ街の職人を描いていながら、ふたりはデフォルメの方法もタッチもまったく異なる。たぶんふたりの世界観そのものが異なっていたのだろう。
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スーチン「小さなパン職人」1919年