「Красная стрела (赤い矢)号」と言えば、モスクワとペテルブルグを約8時間で結ぶ寝台特急。私も何度か乗ったことがある。
この名を冠した分厚い作品集が出た。
『СНОБ(スノッブ)』誌がロシアの鉄道敷設175周年を記念して出版社「АСТ(アスト)」と共同で出版したもので、旅にまつわるエッセイや小説が集められている。ちなみに、名前は名前だが、今ロシアで最高にかっこいい雑誌が 『スノッブ』 ではないかと思う。抜群のセンスでときどき文芸特集を組んでいる。
『赤い矢』に作品を寄せているのは、ペトルシェフスカヤ、トルスタヤ、スラヴニコワ、アレクサンドル・カバコフ、ゲニス、ソローキン、エヴゲーニイ・ポポフら40人近い作家たち。
『スノッブ』の編集者でこの本を企画したセルゲイ・ニコラエヴィチが序文で述べている。
「旅としての人生。遊離した待望の時としての人生。冒険としての人生。冒険の目的も終着駅も最後の最後までわからないけれど」
巻末に、写真家アントン・ランゲの写真集「列車の窓から見たロシア」(2006-2009)が付されているのも嬉しい。
ペトローヴィチを主人公とするとぼけた風刺漫画で有名なアンドレイ・ビリジョのエッセイ「ヴェネツィアの12月」が面白かった。ビリジョは文才もあるのだ!
ビリジョ 「ペトローヴィチといろいろ」