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ミラノのサンタンブロージョ聖堂

ボローニャから列車に1時間5分乗るとミラノ中央駅に着く(2つの町がこんなに近いとは、こちらに来て初めて知った)。駅で待っていてくれたのは、リュドミラ・ウリツカヤとエレーナ・コスチューコヴィチ。
ミラノ在住のコスチューコヴィチはウンベルト・エーコをロシア語に翻訳して賞を取っているイタリア文学者で、自分でも小説を書いている人。ウリツカヤは彼女と親しく、何度かミラノに遊びに来ていて、今回も彼女の家に滞在しているという。それで偶然3人で会えることになった。
コスチューコヴィチが、ミラノで最も古いというサンタンブロージョ聖堂に連れていってくれる。


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これが聖堂の正面。中庭を挟んで両側に回廊が連なっている。
柱や壁に様々な動物、珍獣、怪物たちのレリーフがあって面白い。
アンブロージョ(アンブロジウス)はミラノの守護聖人。驚いたことに、祭壇の裏にアンブロージョ本人のミイラがガラスケースの中に横たわっていた!


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その中央祭壇では、第二次世界大戦時にソ連で命を落とした人々のためのミサが執り行われていた。ウリツカヤはそのことにいたく心を打たれたようで、ときどき立ち止まってはじっと耳をすましている。
私は売店でアンブロージョ司祭を描いた小さな置物を買った(聖堂の壁画に描かれているのと同じ絵である)。奇跡を起こして人を救ったというこの聖者にあやかり、心に傷を負ったある人を回復に導けないものかと願って。

中央祭壇に向かって左側には小さな祭壇がいくつか並んでいる。それぞれに様式が異なり、その多様なところが興味深く感じられた。

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聖堂を出ると突然、鐘の音が響きわたった。それは意外にも、美しく荘厳な響きではなく、むしろ不運とうら哀しさを連想させるぎこちない音色だった。
私たち3人はそれぞれの想いに沈んだ。どうやらそれぞれが別々にそれぞれの不幸な身内を想っているようであった。


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イタリアの復活祭のケーキ「コロンバ」とアンブロージョ司祭。
ちなみにコロンバは鳩が羽ばたくところをあらわし十字架の形をしている。
イタリアの復活祭はもうまもなく(3月31日)。

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2013年3月26日 20:54に投稿されたエントリーのページです。

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