リュドミラ・ウリツカヤが、韓国の第2回「パク・キョンニ国際文学賞」を受賞した。
10月にソウルで授賞式がおこなわれる予定。
パク・キョンニ(Park Kyung-ni、朴景利、1926-2008)は韓国を代表する女性作家。1955年にデビューし、「黒黒白白」「不信時代」など戦争未亡人の生活を描いた短編で認められた。長編に 『金薬局の娘たち』『市場と戦場』がある。1960年代末より大河小説 『土地』を25年の長きにわたって書きつづけ、1994年に完成(5部作16巻)。
文芸評論家のアン・ウシク(安宇稙)氏によると、パク・キョンニの作品は戦争の悲哀を描くにあたり「すべての人間の根源的な宿命として社会的・歴史的な現実の中に投影させ、これを客観的に観察するように」(『東洋経済日報』2008年5月16日)なっていったという。
ウリツカヤは、パク・キョンニの名を冠するこの文学賞を受賞するに誠にふさわしい作家であると思う。
先日モスクワのウリツカヤの家を訪ね、日本にも一定のウリツカヤ・ファンがいることを伝えたばかりだ。
そのとき、素敵な家族アルバムを見せてもらったが、そこにはふたりの孫も写っていた。私はおもわず「こっちがプーシキンのおとぎ話が好きなマルク、こっちが世にも不思議な犬の話を書いたルーカスですね!」と言ってしまった。
じつは、資生堂の冊子 『花椿』 に「Diary ある日の午後三時」というリレーエッセイがあり、世界各地の作家たちが交代で短い日記風エッセイを寄稿しているのだが、2012年11月号のこの欄にはウリツカヤの書いたものが載ることになっている(私が訳しました)。
そこに孫たちが登場するのである。とても可愛らしいのでお楽しみに。