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かもめはいまでも飛んでいる

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この8月、集英社文庫より沼野充義訳のチェーホフ 『かもめ』が上梓される。
チェーホフの四大戯曲のひとつで名作としても誉れ高いこの作品は、すでに何種類もの日本語訳が出ており、いろいろな台本で数限りなく上演されているが、今回の翻訳は、栗山民也氏演出(2007)のために訳されたもので、「現代の空気を呼吸する日本の俳優たちのためという前提に立ち、不要な装飾や『こなれた』言い換えはできるだけ避け、舞台の上で言われていることを過不足なくすぱっと日本語で伝える」ことを目的にしたという。

ロシア語の小説や戯曲を日本語に訳すとどうしても説明的に長くなってしまうので、この「すぱっと」というのは、言うは易し、じつはとても難しい課題だ。
この新訳 『かもめ』では、例えば、トレープレフが「セレブ」という言葉を使っていたり、ソーリンがニーナのことを「今日は特にかわいこちゃんだねえ」と言ったり、アルカージナとトレープレフ母子のやりとりに

「ケチ!」
「ボロすけ!」

という罵り合いがあったり、さまざまな工夫が凝らされている。こうした翻訳上の課題を含め、巻末の解説「かもめはいまでも飛んでいる」が面白い。

ちなみに9月には、NHK教育テレビ「100分de名著 チェーホフ『かもめ』」で沼野充義による4回連続講義がある(翌週に再放送あり)。

第1回 「たくさんの恋」 9月5日(水) 23:00-23:25
第2回 「すれちがい」  9月12日(水) 23:00-23:25
第3回 「自分を探して」 9月19日(水) 23:00-23:25
第4回 「人生は悲劇か喜劇か」 9月26日(水) 23:00-23:25


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2012年8月19日 11:50に投稿されたエントリーのページです。

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