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グルジアの生んだ世界の舞姫

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7月21日(土)東京文化会館でニーナ・アナニアシヴィリとグルジア国立バレエによるガラ公演を観た。

もちろん一番の見どころはグルジアの生んだ世界の舞姫アナニアシヴィリ主演の『マルグリットとアルマン』(上の写真)。よくぞここまで心理が表せると驚嘆するほど繊細な身体表現、華麗にしてエレガントな身体表情。
「美しい」という言葉はアナニアシヴィリのために存在しているのではないかと思う。美しいのは容姿ばかりではない。生きる姿勢も美しく感じられる。2004年にグルジア国立バレエの芸術監督に就任して以来、バレエ団のレパートリーを増やし、意識的にグルジア色を濃くすることでグルジア文化のレベルの高さを世界に示してきた。

21日の特別プログラムもそんなアナニアシヴィリの「民族の誇り」が強く感じられた。
冒頭の演目『サガロベリ』。このタイトルはグルジア語で「聖歌」を意味するそうだが、音楽もグルジア民謡を採り入れ、チャンギという民族楽器が奏でられていた。
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アンコールもまた「カルトゥーリ」というエキゾティックな衣裳による素敵なグルジア民族舞踊だった。
つまり最初と最後をグルジアの踊りで飾っていたわけである。
そして、何回目かのカーテンコールでアナニアシヴィリは大きなグルジアの国旗を両手に掲げて登場した。アナニアシヴィリはただのバレリーナではなくグルジア文化の象徴なのである。

他にも、私は『デュオ・コンチェルタント』が気に入った。ストラヴィンスキー作曲の「協奏的二重奏曲」をヴァイオリン(レラ・ムチェドリシヴィリ)とピアノ(タマル・マチャヴァリアニ)が演奏するのにしばらく耳を傾けていたふたりのダンサーがやがて踊りだし、最後には愛の場面を描き出す。まるで音楽から踊りが生まれ、踊りから愛が生まれたかのように。エカ・スルマワの可憐な表情と動きが魅力的だった。

『Falling Angels』という8人の女性ダンサーによるコンテンポラリーダンスもよかった。黒のレオタード、手足はゴールドに輝いて見え、打楽器の演奏に合わせて幾何学的な模様が刻々と変化していくさまはいつまでも見ていたいと思わせる面白さと迫力だった。

総じてクラシック、コンテンポラリー、民族舞踊とバラエティに富む素晴らしいプログラムであった。

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2012年7月22日 14:36に投稿されたエントリーのページです。

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