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「絵に描いた餅」は食べられない

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味の素食の文化センター発行の食文化誌 『Vesta ヴェスタ』 第87号は 「料理書を『料理』する」 と題する料理書特集。食文化史の専門家である東四柳祥子(ひがしよつやなぎしょうこ)さんの責任編集だ。

日本の料理書の発展も興味深いが、世界の料理書の歴史を簡単に概観した記事が並んでいるのがよい。フランスの洗練を極めた高級料理が料理書を通してしっかりたどれるというところに感心。さすがグルメ文化を誇るフランスだけある。
イタリアでは、19世紀末に刊行されたペッレグリーノ・アルトゥージの 『料理における
科学』 が今でも読み継がれているという。
韓国では、20世紀初頭に書かれた方信栄の 『朝鮮料理製法』 がレシピスタイルを用いた近代的料理書の嚆矢だそうだ。

私はロシアを担当し、19世紀半ばに書かれたエレーナ・モロホヴェツの 『若い主婦への贈り物』 と、20世紀になってソ連医学アカデミー栄養研究所が編纂した 『美味しくて健康によい食べ物の本』 を取り上げた。
慢性的な品不足で食材を手に入れることが難しかったソ連時代に夢のようなレシピを満載した後者は、まさに「絵に描いた餅」であった。もっとも、ロシアに「餅」はないけれど。

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2012年7月10日 13:19に投稿されたエントリーのページです。

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