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数え歌 「霧の中から月が出た」

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いま大学院の授業で読んでいるのは、上の作品集に収められている Татьяна Толстая タチヤーナ・トルスタヤ(1951年生れ)の "Вышел месяц из тумана" という短編。
トルスタヤらしくこのタイトルは子供の数え歌からきており、実際、小説の中にも引用されている。

Вышел месяц из тумана,
Вынул ножик из кармана,
Буду резать, буду бить,
Все равно тебе водить!

この数え歌にはいろいろなヴァリエーションがあり、もっと長く続くものもあるが、上のは韻律がほぼ4脚ホレイ(「強・弱」を4回繰り返すパターン)に整えられていていてリズミカルだ。鬼ごっこの鬼を決めるとき、"Вышел месяц..." と言いながらひとりひとり指さしていき、最後にあたった人が鬼になる。
音遊びと踏韻に満ちた数え歌を日本語に訳してもあまり意味はないけれど、調子よさを出すためになるべく五・七調にして音遊びを試みてみる。

霧の中から月が出た
袖の中から剣が出た
切っちゃえ、ぶっちゃえ、
どうせお前が鬼になる!

授業には日本人の院生の他に、ロシア語ネイティヴの留学生が2人来ているので、細かいニュアンスを聞くことができる。有益なうえ楽しい。
トルスタヤのテクストは1語たりとも疎かにできないことをあらためて痛感する。


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2012年7月 6日 22:36に投稿されたエントリーのページです。

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