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おおばか公?

日本比較文学会第74回全国大会 初日の6月9日(土)、東京大学大学院の松枝佳奈さんによる研究発表がおこなわれた。題して「ロシア研究者・二葉亭四迷の実像――大庭柯公との関係を手がかりに」。
松枝さんは、2010年3月に東京外国語大学ロシア語学科を卒業した沼野恭子研究室の元ゼミ生である。

二葉亭四迷と10数年にわたって親交を結んだというロシア研究者でジャーナリストの大庭柯公(おおばかこう)。このふたりの関係を探ることで二葉亭の「ロシア研究者」としての一面を明らかにするというのが今回の発表の狙いだ。1週間前の6月2日(土)におこなわれた日本ロシア文学会関東支部でも松枝さんは発表しているが、そこでは大庭柯公その人に焦点をあてた。

大庭柯公というのはペンネーム。「おおばか(大馬鹿)公」と読める。二葉亭四迷が父親に「くたばってしめえ」と言われたことからペンネームをつけたというのは有名な話だが、大庭はそれに倣ったのか、それとも自虐的な戯作趣味か、単なる偶然か...。
それはともかく、長州藩出身の大庭柯公(1872-1924)は、高等教育は受けていないが、ロシア語を習得し、世界各地を旅してまわり、新聞記者として活躍した。1921年、革命後のロシアを取材するためモスクワに行ったまま消息を絶った。
大正期の優れたロシア事情通、私たちの大先輩である。

代表作は『露国および露人研究』。これは、大空社より刊行されている全5巻・別巻・別冊付きの『柯公全集』(山下武監修)第3巻に収められている。


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2012年6月10日 17:44に投稿されたエントリーのページです。

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