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旅立つ人への挨拶

昨年暮れに出版されたばかりの 八島雅彦編著 『ロシア語名言・名句・ことわざ辞典』(東洋書店、2011年)は、たいへん便利で役に立つ辞典である。
1174点に及ぶロシア語の名言・名句・ことわざがアルファベット順に並べられ、意味が紹介されているだけでなく、名言(крылатые слова)の出典が詳述されているのが嬉しい。プーシキンの作品から生まれた名言が多いのは当然として、以前ご紹介したグリボエードフ『知恵の悲しみ』のセリフやクルイロフの寓話からもたくさんの名言が拾われている。

日本語のことわざをロシア語で言いたいときは巻末の索引を見ればいい。
たとえば「あばたもえくぼ」は Не по хорошу мил, а по милу хорош.(いい男だから愛しいのではなく、愛しいからこそいい男)、「十人十色」は Сколько голов, столько и умов.(頭の数だけ考えもある)などとすぐ引くことができる。

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先日ウリツカヤの小説の翻訳を脱稿したが、最後のほうで Скатертью дорога. という表現に出会った。これはふつうの露和辞典にも慣用表現として載っているし、上記、八島さんの辞典にも収録されている。
元来 Чтобы дорога белой скатертью стелилась.(道が白いテーブルクロスをかけたように広がりますように)と旅に出る人の無事を祈る挨拶の表現だったが、いつのまにか「どこへでもさっさと好きなところへ行ってしまえ」「おまえなんかいなくてもやっていける」といったアイロニカルなニュアンスで用いられるようになった。文脈から考えて翻訳は「羽を伸ばしておいで」とやさしい感じにしてみたが、どうだろうか......。

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2012年1月24日 13:06に投稿されたエントリーのページです。

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