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ロシアの前衛ジャズ奏者レートフ

12月10日(土)ロシアの前衛ジャズの第一人者 Сергей Летов セルゲイ・レートフをゲストに渋谷アップリンクでおこなわれたトーク&ライブ『ロシア・ジャズ再考/復活祭』に行ってきた。
1956年に生まれ、1980年代初めからロシア前衛ジャズを牽引してきたレートフは、サックス、フルート、クラリネット等を自由に操るマルチリード奏者だ。即興演奏を主体とし、さまざまな芸術ジャンルを軽やかに渡り歩いて多彩なコラボレーションを繰り広げている。
その驚異的とも言える活動の一端が、前半は映像を交えたトークで、後半はロシアの詩人オーシプ・マンデリシュタームの『アルメニア』を主題としたライブで紹介された。


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レートフの活動は本当に多岐にわたっている。
ライブ活動の他に、演劇関連では、タガンカ劇場で上演されたヴェネディクト・エロフェーエフ原作の『Москва-Петушки(邦題は「酔いどれ列車モスクワ発ペトゥシキ行)』や『マラー/サド』に音楽を提供したり、チェロヴェーク(人間)劇場の不条理演劇で自ら天井で(!)演奏したり。舞踏や詩とのコラボレーションも盛んにおこなっている。
最も面白かったのは、ロシア文学者でレートフの友人にしてクラリネット奏者でもある鈴木正美さんが紹介してくださった『エロスと権力』というパフォーマンスだ。クレムリンや指導者たちの映像が流れているところにライブペインティングが重ねられ、ウラジーミル・ソローキンの小説『Сахарный Кремль 砂糖のクレムリン』の朗読とレートフの即興演奏がコラボレートされていた!
その他、レートフはロシアの非公式アーティストたちとのつながりも深く、モスクワ・コンセプチュアリストのパフォーマンスに参加しているという。

構成・河崎純(コントラバスが素晴らしかった!)、司会進行・鈴木正美、通訳・上田洋子の各氏のおかげで、じつに楽しく充実した夕べだった。

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2011年12月11日 03:06に投稿されたエントリーのページです。

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