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ウォッカより古いロシアの蜜酒「ミョート」

味の素「食」の文化センターが年4回 "VESTA" (ヴェスタ)という食文化専門誌を発行している。
2012年1月発売予定の "VESTA" 85号では責任編集を仰せつかり、「はじまりの酒」という特集を組むことになった。
 ↓
http://www.syokubunka.or.jp/vesta/no84.html

私自身も、ルーシ(ロシアの古称)の「いにしえの酒」、ウォッカよりも古い蜜酒「мёд ミョート」について原稿を書かせていただいた。蜂蜜を原料にした酒である。
中身は "VESTA" を読んでいただくとして、面白いのは、蜜酒だけでなく、お茶がロシアに普及するずっと以前に飲まれていた暖かい飲み物「ズビーチェニ」も、伝統的なお菓子「プリャーニク」も、「コヴリーシカ」という糖蜜パンも、みな蜂蜜を用いて作ったということだ。そもそも「蜜酒」をあらわす мёд という言葉が同時に「蜂蜜」そのものをも意味する。つまり古来ロシア人の食生活に蜂蜜は欠かせなかった。ロシア人は「蜂蜜を食べる者」だったのである。
ちょっと待って! ファスマー語源辞典で 「медведь メドヴェーチ(熊)」を引くと、この言葉は元来「поедатель мёда (蜂蜜 мёд を食べる者 поедатель)」から来ているとある。ということは、ロシア人は熊だった? そういえば、Медведев (メドヴェージェフ)というロシア人がたしかにいるではないか。

ちなみに、下はコンスタンチン・マコフスキーの 『蜜酒の杯』 1890年
 
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2011年11月 6日 21:20に投稿されたエントリーのページです。

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