10月28日(金) 大学の講義を終えてから銀座のヤマハホールに行き、「Живое русское слово (生きたロシアの言葉)」と題された「ロシア文化と音楽のフェスティバル」のコンサートを満喫した(主催は E.K.LINGUADAR CULTURE CENTER)。
グリンカから、チャイコフスキー、ラフマ二ノフ、ショスタコーヴィチ、ゲディケ、現役のシチェドリンまでロシアの作曲家の作品が、 ロシアと日本の音楽家たちによって奏でられた。出演者は、ヴャチェスラフ・スタロドゥプツェフ(テノール)、インナ・ズヴェニャツカヤ(ソプラノ)、アレクセイ・トーカレフ(トランペット)、生野やよい(ソプラノ)、レオニード・グリチン(チェロ)、ユリヤ・レフ(ピアノ)、ヤロスラフ・チモフェーエフ(ピアノ)、マキ奈尾美(ピアノ・ヴォーカル)、堺裕貴(バス・バリトン)、原田絵里香(ピアノ)。
声楽とチェロとトランペットが組み合わされたプログラムはバラエティに富んでいてとても楽しかった。ホール全体に轟くズヴェニャツカヤの艶のある豊かな声に心を揺さぶられ、リムスキー=コルサコフの「熊蜂の飛行」を奇跡のような超絶技巧で演奏するグリチンのチェロに驚嘆し、伝説的なオペラ歌手フョードル・シャリャーピンはどんな声だったのだろうと勝手に想像しながら堺裕貴が歌うムソルグスキーの「蚤の歌」を聞いた。
モスクワ音楽劇場「ゲリコン・オペラ」のソリストであるスタロドゥプツェフ(下、1981年生まれ)は、プーシキン原作、チャイコフスキー作曲のオペラ『エヴゲーニイ・オネーギン』よりレンスキーの有名なアリアを熱唱。
かつて大学1年生のときロシア語学生劇団「コンツェルト」にいた私は、現早稲田大学教授の伊東一郎さんが当時院生でレンスキーを演じられこのアリアを歌われたときにピアノ伴奏をさせていただいたので、よく知っている(つもりの)曲だ。スタロドゥプツェフの透明感のある上品なアリアを聞いていたら、学生時代のあれこれが懐かしく蘇ってきた。
総じて素晴らしいコンサートだった。