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イリヤ・グラズノフ 『永遠のロシア』

今モスクワのプーシキン美術館では「サルバドール・ダリ展」が催されており、正面入口から建物に沿って長蛇の列ができるほどの大変な人気を博している。
そのダリ展を尻目に、向かいにあるもうひとつの美術館に行った。コバルトブルーの美しい建物。イリヤ・グラズノフ・ギャラリーである。


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Илья Глазунов イリヤ・グラズノフ (1930年生れ)は、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』を初めとする作品にイラストを描いて有名になった画家。1987年から絵画・彫刻・建築アカデミー総裁を務めている。かなり保守的な志向の持ち主で、君主制を支持していると言われる。
館内に、グラズノフがロシア1000年の歴史をすべて描きこんだという作品が展示されていて度肝を抜かれた。縦3メートル、横6メートルの巨大な作品で、『永遠のロシア』(1988)と名づけられている(下)。
磔にされたキリスト、最前列には聖者たちとともにドストエフスキー、トルストイ、ゴーゴリ、プーシキン、レールモントフらが並び、トゥルゲーネフ、マヤコフスキー、チェーホフ、チャイコフスキーなど名だたる作家や芸術家、ピョートル大帝、エカテリーナⅡ世らツァーリ、レーニン、トロツキー、スターリンといった政治家の顔が見える。クレムリン、ルブリョフのイコン『三位一体』、タトリンの「第3インターナショナル記念塔」、青銅の騎士、そして顔を覆っている(なぜか)裸体の女……
描かれているのがだれなのかを考えるのは面白いが、絵画作品としての価値はどうなのかやや疑問だ。


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この他、ロシアの資本主義的な傾向を揶揄したかなりどぎつい『わが国のデモクラシー市場』(1999)というやはり巨大な作品もあった。

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2011年9月16日 23:44に投稿されたエントリーのページです。

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