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モスクワのシャーマン

小雨の降りつづくモスクワ、9月11日深夜10時。有名なアングラ文化スポット「オギ」に、自他ともに認める「シャーマン」の歌を聴きに行く。
シャーマンの名は Вера Сажина ヴェーラ・サージナ
1960年にモスクワ郊外で生まれ、モスクワ大学心理学部を卒業してから長く病院に勤めていたが、1980年代後半より音楽パフォーマンスや絵画展への出品を始める。2003年には 『По обе стороны невода 魚網の両側』 という詩集も出しているから、多彩な才能の持ち主である。

「天に向かって祈ることを私に教えてくれたのはアメリカ・インディアンやトゥヴァの大草原。オオカミのラジオに耳をすますことを教えてくれたのはモスクワ郊外の松林。深く瞑想的に歌うことを教えてくれたのはクリミアの海」だという。


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サージナ(写真右)は大小のアコーディオンやバラライカを使い分け、次々と歌を披露した。共演者は入れ替わり立ち代わり、サックス奏者 Сергей Летов セルゲイ・レトフ (写真左)だったり、ギタリスト、パーカッション奏者だったり。
彼女の歌声は、美しく澄んだ高音と、ユニークな発声法の野生的な(少々野卑な感じもする)低音。じつに独特の、しかしたしかな世界があり、聴いているうちに「癒し」のような感覚を覚える。
その憂愁を帯び祈りにも似た歌が、10年前の今日起こったニューヨークの同時多発テロの犠牲者や、ちょうど半年前の東北地方の震災で亡くなった方々の霊を慰めてくれることを願った。

下はサージナの新しいCD 『Подземные воды 地下水』。


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2011年9月12日 15:52に投稿されたエントリーのページです。

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