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NHKのロシア語教育番組

「日本におけるロシア語教育」を考える場合、大学や一部の高校、語学学校のほかに、公共放送であるNHKの語学番組の存在も忘れるわけにはいかない。放送局が語学教育をおこなっていない国ももちろんあるわけで、それを思えば、さまざまな外国語を学ぶ機会を多くの人に提供する放送局が日本にあるというのは素晴らしいことだ。

では、NHKの外国語講座はどうあるべきだろうか?

私はこれまで、ラジオのロシア語講座を2シリーズ(2001年4月から2003年9月まで)、テレビのロシア語講座を2シリーズ担当させていただいた。テレビは、2007年4月から「ロシア語会話」のモスクワ編、2009年10月から「テレビでロシア語」のシベリア編だ。モスクワとイルクーツクのロケに同行し、優秀なスタッフと才能ある出演者に恵まれ、とても楽しく貴重な経験をさせていただいた。
でも、モスクワ編は4回も再放送され、シベリア編は現在すでに3回目の再放送。いくら予算がないからといって、これではテレビだけでロシア語の勉強を続けたいと思う人のやる気を削いでしまう。ロシアの現状や文化を伝えて学習意欲を高めるのもテレビならではの使命だと思うが、同じ映像ばかりではその効果もあまり期待できないだろう。初級の文法だから何度再放送をしてもいいということにはならない。
どんどん講師を変え新しい発想で新しい番組を作っていくべきだと思う。

「グローバリゼーション」の進む昨今、英語の意義はいくら強調してもしすぎることはないが、同時に、英語以外の外国語の重要性も高まっている。本当の国際化というのは多くの言語や文化に触れて初めて生まれるものだ、などと今さらあらためて言うまでもないだろう。
人的資源に頼らざるをえない日本の将来のためにも、NHKは外国語教育番組の予算を減らしてはならないと思う。むしろ逆に予算を増やして語学番組専任スタッフを充実させ、テレビとラジオの番組のバランスを考えたり、委員会を作って教育内容や番組構成を検討したり、大学等と連携したりしていろいろなプロジェクトを実践していくべきではないだろうか。


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2011年8月11日 20:35に投稿されたエントリーのページです。

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