ようやく夏休み!
去年の今ごろは、スウェーデンのストックホルムで開かれたICCEES(中央・東ヨーロッパ研究協議会)第8回世界大会という大規模な学会に行き「ロシア文学と東アジア」というパネルで研究発表をしていた。これがとてつもなく「多文化」的なパネルだった。
パネリストは3人。韓国出身で東大大学院に学びアメリカ在住のキム・ヒョンヨンが「韓国映画におけるドストエフスキー的モチーフ」について(ロシア語で)、ブルガリア出身で東大大学院に学び香港の大学で教えているデンニッツァ・ガブラコワが「トルストイと魯迅」について(英語で)、日本人の私が「ピリニャークと日本の関わり」について(ロシア語で)それぞれ報告し、ロシア人で日本史を専門とするロシア人文大学のアレクサンドル・メシチェリャコフ教授がコメンテーターを務めてくださった。
(左からキム、ガブラコワ、沼野恭子、メシチェリャコフ、司会の沼野充義)
学会の懇親会がノーベル賞のレセプションと同じ由緒ある会場でおこなわれたというのも印象的だったが、キムさんとふたりでガムラ・スタン(旧市街)やノーベル博物館を、ガブラコワさんとふたりで民俗学博物館を訪ねたのも大変楽しかった。
それにしても、スウェーデンとともにノーベル賞を運営してきたノルウェーで(平和賞の授賞式はオスロでおこなわれる)「多文化主義」に挑戦するテロ事件が起きたとはなんという不幸だろう!
神様、地震や津波や原発事故だけでは人類にとってまだ試練が足りないとでもいうのでしょうか。