7月7日(木)七夕の夕べ、姜信子さんに東京外国語大学で講演をしていただいた。「『空白』をつなぐ旅~記憶の彼方、コトバの行方」。
ちょうど前日の6日(水)、『東京新聞』夕刊に姜さんのエッセイ「生きなおす言葉」が載った。陸前高田で水道の蛇口やネジを洗浄するボランティアをしながら観察し思索したことが綴られている。
「よみがえれ、よみがえれと念じつつ水道管を洗った。水を想い、命を想った。水とともにある命を語りなおす言葉を産み育む私たちであれと強く願った。そうしてつながりなおし、生きなおしていく私たちであれと」
講演は、震災ボランティアにも触れつつ、旧ソ連ウズベキスタンに暮らすコリャサラム(高麗人)や、カザフスタンに暮らすチェチェンの人たちとの出会いを紹介しながら、「語りえないもの」「封じこめられた記憶」とどう向きあったらいいか、という重い問いを投げかけるものだった。一言ひとことが心に響き、さまざまな「考えるきっかけ」を与えられた素晴らしいお話だった。