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ズヴャギンツェフ監督 『エレーナ』 でカンヌ映画祭審査員特別賞受賞!

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2011年5月カンヌ国際映画祭で、Андрей Звягинцев アンドレイ・ズヴャギンツェフ監督の新作 『 Елена エレーナ 』が審査員特別賞を受賞した! 続いて6月23日より現在、第33回モスクワ国際映画祭がおこなわれているが、ロシア・プログラムの冒頭で『エレーナ』が上映され、たいへんな評判だという。日本でも封切らないものか。

ズヴャギンツェフ監督は1964年ノヴォシビルスク生れ。2003年のヴェネチア国際映画祭で、デビュー長編 『 Возвращение 帰還 (邦題は「父、帰る」)』が金獅子賞(グランプリ)に輝いている。

『父、帰る』のテーマは「父と子」だ。
ある日突然帰ってきた父が、息子ふたりを連れて湖に浮かぶ無人島に行く。父は「神」のイメージに重ねられており、「父」に対する息子たち(兄アンドレイと弟イワン)の態度が、「神」に対する人間の二様の姿勢をあらわしている。つまり、強い父に素直に憧れる兄は信心深い純朴な人間、父を胡散臭い思いで見る弟は誇り高く懐疑的な人間をそれぞれ象徴しているのだ。

この作品には、最後まで明かされない謎がいろいろある。父が帰ってきたのは何故なのか? 無人島で意味ありげに父が掘り出したカバンの中身は何だったのか? 父が話していた電話の相手はだれなのか? 
2004年にズヴャギンツエェフ監督が来日した折、記者会見で、自作の「謎」について聞かれ、次のように答えていたのが印象に残っている。「芭蕉は弟子の曾良に、全部を言い尽くしてはいけない、想像のための空間を残しておくべきだと語ったそうではありませんか」。
見事な受け答えだった。

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2011年6月27日 14:12に投稿されたエントリーのページです。

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