大学院の授業で読んでいるのは Александр Генис アレクサンドル・ゲニス 『Расследования: Два! (研究 2!)』 (М.:Подкова, Эксмо, 2002)。今年はヴィクトル・ペレーヴィンで修論を書く院生がいるので、この中のペレーヴィン論を選んだ。章のタイトルは "Поле чудес"。これをどう訳すか、授業でああでもない、こうでもないと議論したあげく、「奇跡が原」とすることにした(妙案!)。
ちなみに、これがゲニスの本の表紙だが、6人の顔写真のうちペレーヴィンは左下。彼はたいていサングラスをして顔を半ば隠している。
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ゲニスが、ペレーヴィンの手法を「境界の詩学」と呼び、シュールレアリスムの画家ルネ・マグリットの方法と同じだと指摘しているのは興味深い。たしかにペレーヴィンは、夢と現実、芸術と自然、人間と虫、生きているものと死んでいるものの境界線上で戯れているし、たとえば裸婦と木目のハイブリッドを描いた『発見』(1927)では、マグリットも人間と植物の境界を探っているように思える。
マグリット『発見』