『Книга, ради которой объединились писатели, объединить которых невозможно(まとまるはずのない作家たちがまとまった本)』(モスクワ、2009) は、ロシアの現役作家21人が短編をひとつずつ出しあったアンソロジー。
Людмила Улицкая リュドミラ・ウリツカヤ (1943年生れ)が序文を書いている。モスクワ第一ホスピスを運営している「ヴェーラ基金」のことを知ったウリツカヤは、「わが国の複雑な情勢のもとでもこうした絶望的な事業を手がけることができ、それによって混乱の中に意味と美と尊厳を形づくることができるのではないかと思った」という。治療の見込みもなくどの病院からも見放された人々に人間らしく生を締めくくってもらえるようにしようという気高い取り組みに「まとまるはずのない作家たち」が共鳴し、その結果できたのがこの短編アンソロジーなのである。収益はすべてヴェーラ基金に寄付されるという。
集まったのは第一線で活躍している作家ばかり。抜群の人気を誇るヴィクトル・ペレーヴィンとボリス・アクーニン、短編の名手タチヤーナ・トルスタヤ、語りの巧妙なエヴゲーニイ・グリシコヴェツと、いずれも私の大好きな作家たちである。イスラエル在住のジーナ・ルービナやカリスマ作家ウラジーミル・ソローキンも参加している。
ファンタジー作家マクス・フライの「クラコフの悪魔」が面白かった。