昨年12月、院生だった古川哲くんが、ロシア文学の分野ではたぶん初めてだと思うが、東京外国語大学で博士号(学術)を取得した。
博士論文 『繁茂する革命―1920-1930年代プラトーノフ作品における世界観―』 は、プラトーノフの主要作品5編を取りあげ、「飛翔する花粉」という美しいイメージを手がかりに自然と人間の関係を探ったオリジナリティあふれる力作だ。
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これは、古川くんではなく(!)、Андрей Платонов アンドレイ・プラトーノフ(1899ー1951)。
博士論文の要旨はここで読める。
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http://www.tufs.ac.jp/common/is/kyoumu/pg/pdf/Furukawa%20Akira.pdf
プラトーノフ作品は次の2冊が日本語になっている。
『土台穴』 亀山郁夫訳(国書刊行会、1997)
『プラトーノフ作品集』 原卓也訳(岩波文庫、1992)
前者はやや晦渋。
お薦めは、後者に収められている短編「ジャン」。中央アジアの砂漠を舞台に、絶滅しかけている少数民族ジャンを救い幸福にすべしという指令を受けた主人公が奔走し苦悩する献身と絶望の物語だ。
なお、古川くんはこの4月から東京外国語大学の非常勤講師として「ロシア語表現演習」を担当している。