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オーランドー・ファイジズ 『囁きと密告』


すごい翻訳が出る。ロンドン大学教授で歴史学者の Orlando Figes オーランドー・ファイジズ(1959年生れ)による大著 『囁きと密告(上・下)』 染谷徹訳 (白水社、2011年5月)である。
この本は、「警察国家のシステムがどのようにしてソヴィエト社会全体に深く根づいたか、数百万の平凡な市民が沈黙の傍観者または協力者に仕立て上げられてテロル支配を支えたのは何故か」を解明しようとしたものだが、最大の特徴は、膨大なインタビューや資料を文字どおり縦横無尽に駆使して、スターリン時代の抑圧の様相をどこまでも「私的」な立場から捉えていることだろう。

原題は "The Whisperers, Private Life in Stalin's Russia".
ロシア語で「囁く人」を意味するふたつの語 шепчущий(ひそひそ囁く人)と шептун(密告する人)を英語の題名は一語 whisperer であらわしているが、邦題はロシア語の意を汲んで「囁き」と「密告」としたようだ。
20世紀のロシアに関わる人は必読!

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2011年4月21日 09:19に投稿されたエントリーのページです。

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