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都知事選の翌日、「アンダー・コントロール」!

 東京の「悪天候」

 フランスの友人が何人か、大雪を心配してメールをくれた。大震災と原発事故以来、日本の行く末を心配して、いろいろ気遣ってくれる。

 「雪はだいじょうぶか、被害は?」というメールには、「東京は次の日から解け始めるから大丈夫だが、ここよりたくさん降ったはずの福島が心配だ。日々の作業もできなくなるし、近頃、何があっても報道がとてもおかしいから。雪は白い。でも見えない降りものについてはドイツZDFのドキュンメタリーでも見ておいてくれ...」、と返事。

 今朝は、マスゾエの万歳写真つきのル・モンド記事をつけたFBメッセージ、「で、この悪天候は?日本はあいかわらず登り難い山なの?」。これには、「悪天候で投票率は46%、日本の当局はいつも投票率が低いことを期待している。東京都民の半分はデモクラシーを必要としていないようだし、残りの半分はそれを厄介払いしたがっている。だから、この鉄面皮な腐れゴキブリが都知事の椅子に座ることになった。ルペンみたいのもいるし、トーキョーはいつも世も末、キリストが再臨するかも...」と返事。

 マスゾエの言行・所業、とくに女子供や老人に対する悪態・侮蔑については、フランスでもイギリスでも選挙期間中に報道され、こんな人物でも都知事候補になれるのかとあきれられている。それが大差で当選したのだから、日本はやっぱり分からない!?ということになる。ちなみに今年パリ市長選があるが、予定されている候補者の大多数が女性、それもタレントでもマスコットでもないバリバリの政治家たちだ。

 ネットニュースなど見ていると、「脱原発」が3人で争点がボケている、とか報じられていた。マスゾエも「脱原発」だというのだ。ところがル・モンドなどは過去の発言からまぎれもない「推進派」と書いている。

 メディアの「恭順」=「アンダー・コントロール」

 今度の都知事選ではメディアの政府への「協力(恭順?)」が目立った。選挙中は「中立・不偏不党」、特定候補の不利益になるような報道はしない(自粛する!)という姿勢だ。ほんとうなら候補がどういう人物なのか、過去に何をし何を発言したのか、有権者にどんどん情報を出すべきだ。だが、それをやると「特定候補の不利益になる」というわけだ。だから、広報に書かれたお題目や演説内容を復唱するだけ、その結果、都合の悪いことは隠してやることになる。

 今回は、そのためにかなりの圧力がかかっていたことが露見した。いわくつき安倍トモの会長・経営委員を抱えるNHKの報道は言うに及ばず、マスコミ全体に「原発は都政の事案ではない」とか、「選挙中の原発論議は避ける」とか、「マスゾエの政治資金問題を取り上げない」とか、いくつかお達しが回っていて、結局たいていの報道機関はそれに従った。

 それに、これは一部ネットでは騒がれたが、マスゾエの街宣には人が集まらず、細川・小泉の街宣や、宇都宮の集会には何千人もの人が来る、その実情はほとんど報道されなかった。さすがの小泉も「街宣の反応と世論調査がまったく違う、おかしい」と不満を洩らしたようだ。

 この間も、一部では福島の危機的な状況や、東電のあまりにずさんで無責任かつ厚顔無恥な対応が伝えられていたが、日本全体を危機にさらしかねないこの問題についても十分報道されなかった。争点にしないためだろう。安倍がオリンピック誘致で大見得を切った「アンダー・コントロール」というのは福島第一そのものではなく、そこから漏れる情報のことだったと分かるが、今度の選挙でもメディアの「アンダー・コントロール」が都民を眠らせておくのに成功した。息を吹き返した「原子力ムラ」を挙げての圧力、これが安倍政権の隠然たる武器だ。

 汚れた溶雪、雪かきの春へ

 マスゾエは片山さつきにも支援を断られるし、ネットで悪事は次々暴露されて「マスゾエを当選させない女たちの会」のようなものがいくつもできて、海外メディアは人格暴露するし、内心戦々恐々だっただろうが、それでも自民党幹事長菅の脅しのきいたメディア箝口令と、安倍政権の「下駄の雪」(どこまでも付いてゆきます下駄の雪)に成り下がった創価学会・公明党、それに原発再稼働で放射能をまき散らして自分たちのボーナスを上げてもらおうという連合(これで労働組合か!)のおかげで、楽々勝。ともかくも、この選挙は日本の現状、そして首都東京の現状をよく照らし出した(何が「世界一」か、よくわかる)。

 安倍政権は名護市長選で苦虫をかみ潰したが、米軍やオスプレイの見えない東京ではまだ大丈夫だった。田母神票(当人が言うように、実質的な安倍シンパ)を合わせれば東京は安泰というより盤石だ。金があるところは違う!(マスゾエによれば、年寄がいちばん金をもっているから消費税で吐き出させるのだそうだ)。

 最近、自民へのすり寄りが目立つみんなのワタナベは、これでオリンピックに向けて東京の「岩盤規制」(安倍のマネ)を突き崩し、経済活性化を推進すると息巻いていた。メディアも有権者の関心を分析するとかいいながら、「景気・雇用」を一括りにする。どこでそんなことを習ったのか。いまのグローバル経済の下では、「景気」と「雇用」は両立しないのだ。「景気」をよくする、つまり企業の成長を目指すと、雇用状況はますます悪くなる。「雇用特区」の話はその象徴だ。コスト削減で最後まで費用を切りつめられるのはモノではなくヒトだからだ。その「雇用」を守る「岩盤」が標的にされ、崩されようとしている。

 危機は深まるが、この汚れた溶雪のような東京で、それでも今回、意識的に選挙に参加し、投票した人たちが二百万人近くいた。先回は百万人だった。望ましい候補を都知事にすることはできなかったが、それぞれにみんな選挙戦を戦い、あるいはその気配にふれ、多くの人びとは意気軒昂、いっそうやる気を増していると聞く。

★田中龍作ジャーナル「吹雪の死闘、脱原発2候補マイク納め」「マスコミが伝えない 脱原発二候補・敗戦の弁」

 

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2014年2月10日 10:17に投稿されたエントリーのページです。

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